「 ばいばいクルンテープ、さよならフアランポーン 3日目 」
バンコク弾丸旅最終日の今朝は7時起き。
お昼のチェックアウトまでの午前中にひとつ「インスタ映え」スポットを観光しちまおうと意気込んだ。バンコク市内の便利な交通網、MRT(地下鉄)とBTS(高架鉄道)を乗り継いでおでかけした先は「ワット・パクナーム寺院」。
なにはともあれ、「インスタ映え」のために存在するようなお寺さんかよ!って代物で圧巻だった。
5階建ての一番上まではなんとエレベーターで上昇だ
すぐ隣には製作途中の巨大仏が鉄骨剥き出し!
「ワット・パクナーム」は古くからある瞑想修行をする寺院なんだけど、この白い仏塔の中は2階が瞑想する場所になっていて1階と3階から4階は博物館としてたくさんの仏教関連の展示物が展示してある。
しかしなんと言ってもやはり最上階の5階に鎮座する緑色のガラスで出来た仏塔が大本命なのである。
周囲を囲む仏を覆う木の種類が全部違うのが興味深い
「ワット・パクナーム」の緑のガラス仏塔さえ拝むことが出来れば午前中の観光はしまいだ。
こんな素晴らしい繊細な仏塔を観たのは初めてだったよ。仏教って質素なイメージが強いから派手な金ピカは良く見るけどこういうのもたまには良い。
さて、モーターサイに乗りBTSウッタ・カート駅まで戻ったら急いで安宿へ戻る。チェックアウトには間に合ったがここで思い直し、宿主と交渉して夜までの半日分部屋を確保した。
と言ってもこのまま部屋でゆっくりと言うのではなく、午後はバンコク市内の知った所を踏破し帰国前にシャワー&パッキングをしっかりしたいがための確保だった。
3月はドリアンの旬の季節 車内への持ち込みはダメ!絶対!!
フワ卵カニカレーで腹ごしらえと洒落込んだ
クルンテープ駅にお邪魔したらここから市内観光スタート
待合室は今日も大盛況で安泰
国鉄クルンテープ駅の前からすぐにバンコクの中華街へ通じているので、まずは中華街をくまなく散策しそのままインド人街のあるパーフラット市場まで歩いた。
そこからチャオプラヤー川の河岸にあるボート乗り場を目指したら、オレンジ旗の鈍行ボートに乗り込んで行き交う各種ボートの間を抜けカオサン・ロードの寺裏にあるボート乗り場までの簡易クルージングだ。
中華街の特徴はやっぱりこの看板たち一択!
突如目の前に現れたチープなおもちゃ屋台はばあさんの手押し車
流行ってんだろうな、大抵の日本人が象パン履いてた
道の真ん中に待機してるのはいいが割りと邪魔だよ
カオサンで何かお土産でも買って帰ろうかと思ってたけど、それほど魅力的なTシャツもタイパンも民芸品もなく、適当に入ったスーパーで食材とかヤードムなんかの小物のお土産ショッピングをしてるといつの間にか夕方6時過ぎ・・・・
カオサンでお土産無いなら土曜日だしチャトチャックのウイークエンドマーケットでも行こうかな?なんて呑気なこと考えてる場合じゃあ、全然なかったよ
ドンムアン空港行きの列車は20:10発。そいつに乗るためにまたここへ戻ってくるのだが、本当に時間がなかった。
MRT(地下鉄)で戻った安宿でシャワーを浴びて荷物のパッキングを速攻で終わらせたチェックアウトの時点で19:50・・・・ どう考えても列車の時間に間に合わないなら、奥の手を使うしかないようだ。
宿の近辺で客待ちをしているモーターサイ(バイタク)のドライバーに「100バーツ渡すから列車の時刻に間に合うように行ってくれ、大丈夫か!?」と頼む。
ドライバーは「任せろ、乗れ!」と叫び、渋滞のバンコク市内をバイクですり抜ける。
出発時刻に間に合い、駅構内を列車に向かって走りながら心の中でつぶやく。
「ばいばいクルンテープ、さよならフアランポーン」
しかし待っていた列車の車内は激混み。なんとか荷物を網棚に乗せるのが精いっぱいで、立ってる場所もなんとか確保出来てるようなカオスな車両。。。
しかも始発駅、ローカル各駅列車の扱いは最下層で他の列車との兼ね合いに巻き込まれ、時間になっても一向に発車する気配を見せない・・・・
これなら大枚はたいてモーターサイに乗らなくても徒歩とMRTでも間に合ったな・・・・
まあ遅れることもあろうかと、ドンムアン駅に到着する時刻は、空港入り予定21:45よりだいぶ早い21:00着の列車を選択していたナオキーズ! 数々の経験からなる先見の明が冴えたなとほくそ笑んでいた。
そして周りの乗客に何気なく「この電車、ドンムアン駅に停まるよね?この切符で大丈夫だよね?」と軽い気持ちで聞いてみたら、どういうことか周りの乗客はどよめきながらオロオロし出したではないか。一瞬の間に不安になり、もう一度同じ質問を繰り返すが誰も答えてくれない。いや、どうやらローカル列車の夜行便のせいか乗客はほぼローカルタイ人で、俺の英語を理解してくれていないようなのである。
返ってくる返事は当然タイ語。それこそ俺が理解できるはずもなく、ただただみんなが俺の切符を確認しては「分からない」「違うんじゃないか?」「こんな駅は知らないよ」といったような不安ジェスチャーを浴びせてくるではないか・・・・
ま、まずい・・・・ いくら時間に余裕のある列車を確保したと言ってもそもそも列車を乗り違えたら元もこうも無いのである。
発車時刻も遅れてるんじゃなくって列車が違うから出発しないだけなのでは?これが旅中の出来事ならなんとかなるだろうと思ってマイペンライするのだが、俺はこれからジャパンへ帰国するために空港に行かなければならないのだ。このままだとヒコーキすら乗り遅れることも考えられるじゃあないか!
ちょっとなら大丈夫だろうと切符を片手に車両を降り、隣の車両の英語が通じそうなジェントルマンに切符の確認をしてもらう。
「おぉ、大丈夫だ。この列車で間違いないぞ!」
『勝訴』と書いた紙を掲げるように切符を頭上に掲げながら元の車両に戻り、「みなさま、この列車で間違いないようでございま~~す!」と声を上げる。すると、みな一様に安心した笑顔となり良かった良かったと祝福のジェスチャーで迎えてくれた。ひと安心だった。
そして本当に本当の最後の国鉄クルンテープ駅発のローカル線ディーゼル列車の旅は、遅れること15分、20:25に出発したのであった。
あったのだが。。。
車両の窓は全開なのにスピードが恐ろしくノロいのと密集した人の密着度で汗が止まらねぇ。せっかくシャワー浴びてきたのに台無しだ。
そしてバンコク市内を走るローカル列車あるある、線路内赤信号、踏切遮断待ちの時間稼ぎに遭遇し出発したのに全然進んでいない。時間はどんどん過ぎるのに距離が進まないのである。特急に抜かされ、乗客の指定席勝手に座り入れ替え騒動が勃発し車掌が拡声器で怒鳴りまくっている。
クルンテープ駅からドンムアン駅まではたったの5駅しかないはずなのに、2駅目のバン・スィ駅に到着したのが本来ドンムアン駅の到着時間と同時刻の21:00。2駅進むのに35分間もかかってる。あと倍の駅があるってことは倍の時間かかるってーことかよ!
そんな中、ふと気が付くとこの車両でイライラしてるのは怒鳴り散らしてる車掌と時間ばかり気にしているナオキーズ!の2人だけで、周りの乗客は何を気にするでもなく、席の取り合いもゲーム感覚で譲り合いも当然持ち合わせ、ニコニコと楽しんでいるようにさえ見えてきた。
そんなおおらかなローカルタイ人達を見てるうち、ここまで来たらもう列車は出発してるし、俺の気持ちが焦っても早く到着する訳でもないと思えるようになってきた。
とにかく時間的にはぎりぎりまで追い込まれているが、何も律儀に2時間前に空港に着くこともないし、23:45のヒコーキに間に合えばそれで良いのである。最悪ヒコーキに乗れなくなってもまたチケットを買い直せば良いだけの話である。
ある意味ポジティブな領域まで心が昇華されると急にこの混沌車内が愛おしく思えてきた。
思えば今回の旅は3日間という短い制限のなかで全力で遊びまくったので常に時間に追われていた。それを可能にしているのは、現在のバンコクがひと昔前より確実に街全体が効率化し、近代化への進化のスピードが止まらないから、こちらが考えられる最速の行動を可能にしているのだ。
しかしそれはバンコクという街の華やかな表面上の出来事にしか過ぎず、遅い国鉄ローカル列車、線路脇に住む半スラムの人々、効率化から外れ歴史に取り残されていくクルンテープ駅、そしてこの車両に乗り合わせた言葉は通じないが人当たりの良いローカルタイ人達。。。この懐かしいアジアの旅の要素は、いまだ健在なのだった。
このバンコクの旅路で、まだこんな古き良き東南アジアの旅が体験できるとは、最後の最後に思ってもみなかったとてもうれしい誤算。
ちょこまか動き回るのも良いけど上手くいかなくなってイライラするのは見当違いだぞ、ナオキーズ!お前の旅の本質はなんだ!?そんなんじゃねーだろって最後に旅の神様が思い出させてくれたみたい。
普通なら帰国の時が迫れば空港までのタクシーやエアポートリンクに乗った時点で旅の気分は終了してしまうが、それが国鉄ローカル線に乗っただけで言葉が通じない、時間が読めない、乗客が勝手気ままと、妙な気苦労、妙な緊迫感に包まれながら旅を終えることが出来るのは、バックパッカー冥利に尽きるのである。
この満員ローカル列車はデンチャイなんて聞いたこともない街までまだまだ旅を続けるんだな、今度タイに来た時にはまたこの列車に乗って今度は俺がデンチャイまで行きたいな、なんて感傷に浸りながらドンムアン空港への入り口のドアを開ける。
突然、ブアーーーーというクーラーが涼しく、照明が異常に明るい空間に放り出され、小奇麗な観光客がたくさん現れた。
これから「帰国」という気持ち以外に共通点がまったく見い出せない人達と汗だく中年バックパッカーが突然同じ空間に居合わせる不思議。
無駄な時間をかけてアジア旅に浸りながら、いつ着くかも分からないスリルに酔いしれ空港に辿り着いたナオキーズ!と、帰国するためだけにタクシーに乗ってやって来たスーツケースの観光客では、このドンムアン空港に辿り着いたという実感はかけ離れたものだろう。
人それぞれの旅のスタイルだから異論は認める。でも、前者の旅の仕方が心にも身体にも圧倒的に大好きなナオキーズ!にとって、絶対、俺の方が面白い旅だったぜって胸張って言えるのな。
効率なんて二の次だ、快適なんてあとまわし。
マイペンライでなるようになる旅をこれからも求めて、結果よりもその道筋にドラマを作り続ける生き方をしていこうと心に誓い、初春の日本を目指してナオキーズ!は雲の彼方へと消えていくのであった。。。
Bangkok,Thailand 23/mar/2019 From Naokys!
あの忘れられた名旅ブログ ナオキーズ! 『 ぶらっと、旅る。 』
2019年早春第一弾企画、ナオキーズ!俺旅の目的地は
「微笑みの国タイランド」の首都バンコク
『3日バンコク諸行無常』週末弾丸セルフツアーの旅日記に乞うご期待
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