「 仮面劇の町 アンバランゴダ 」
スリランカ西海岸の小さな漁村、いや町か。その名もアンバランゴダ。
無形遺産な伝統芸能が大好きナオキーズ!がこの『仮面の町』と呼ばれているアンバランゴダを見逃すハズがなかった。
木彫りの仮面をかぶり太鼓に合わせて踊る。 絶対面白いでしょ、そんなの。
仮面劇には2つの種類があって、ひとつは世相を風刺した大衆劇「コーラム」。
もうひとつは病気退散などの悪魔祓い儀式的な舞踏「トウィル」。
ふたつは仮面の様子が全く違うのでどっちが大衆的でどっちが悪魔的かはすぐ分かるのだが、たくさんの種類も見応えもあり、そんな仮面の工房がこの町にはいくつもあるし、作業工程やら仮面のお土産やら、はたまた仮面劇まで観れちゃうなんて町なら、行かない訳にはいかないぞな、もし。
今回はそんな伝統芸能の存在する魅力的な小さな町・アンバランゴダへ、コロンボから日帰り観光してきたお話。
国営のローカルバスは西海岸を海沿いに南下して行くから運転席の真後ろ、車窓から海が見える席を陣取ってた。
出発してすぐに反対側のシートに座ってた3歳くらいの男の子がおばあちゃんと一緒に俺の3人がけのシートの横に移って来たんだけど、この男の子、バスが出発するまでの間ずーっと俺のことが気になっていたのか、隣にやって来るとすぐに笑顔でなんかしゃべりかけてきた。当然、俺はシンハラ語が1ミリも理解出来ないから「何言ってんだか分かんねーよw」って笑顔とジェスチャーでの会話がずっと繰り広げられたんだけど、もう人懐っこいのなんのでメチャクチャカワイイ!
車窓は都会のコロンボの街を抜け、ビーチ沿いの小さな町やなんかをぐんぐん進んで行くけども、そりゃ景色なんかよりもこの男の子と遊んでる方が断然楽しかったもんだから、旅は道連れ、子は万国共通クソ可愛いってんで幸先の良い旅路のスタートとなった。
途中の町でお坊さんがひとり乗ってきた。仏教国ではお坊さんの座るシートってのが決まってることがバスなんかの乗り物にはよくあるんだけど、それが俺の座ってる一番前の3人がけシートだった。当然、おばあちゃんは女性なのでお坊さんの隣に座るなんてことが出来ないから反対側のシートへ移る。
キュートな男の子もおばあちゃんと一緒に反対側のシートに行っちゃうのかと思いきや、なんとこの男の子、俺の膝の上に座ってきたよ。
はぁ~、なんて愛らしいコ!! お前、もう俺の子になれ。 おじちゃん、スリランカに永住しちゃっても良いぞーーーー!
だけどしばらくしたら眠くなってさみしくなったのか、突然おばあちゃんのところに戻ってそのまま寝ちゃったよ。。。
おい、なんだかえらくさみしい気分なんだけど、どう責任取ってくれるんだよ、ラブリーキュート君!
でも、この男の子のおかげで3時間のバス旅も良い思い出になったし、アンバランゴダで俺だけ降りてもバスの中から見えなくなるまでずっと手降ってバイバイしてた。
どんなに仲良くなっても別れがツラくなるからと、敢えて名前を聞かなかったけど、別れ際は名前を叫びたくなるほど切ない気分に。
しかも今日1日、小さな男の子見かける度にあの子の面影がチラつく程に。。。
これは、、、男の子ロス・・・・か。
アンバランゴダの町はメインロードと海沿いの道があるだけの、歩いて周っても2時間もあれば全部見れちゃうような小さな町だ。
早く仮面の工房に行きたいが、早る気持ちを抑えてまずは漁村の方面から町散策の開始だ。メインはあとに取っておいた方がウキウキ気分も高まるからな。
小さな地方都市の駅さながらに1日に数本の電車しか止まらない
トゥクトゥクと子供は格好の被写体となる
時計塔のあるマーケットから南下するとすぐに小さな駅があった。素朴な駅で田舎感がほのぼのしてた。そこからビーチの方へ1本裏の道へ行くとすぐに静かな住宅があるだけの漁村に変わる。
昼時なので太陽が真上から射すが、カラッとした湿度の少ない真夏なので汗はあんまりかかない。かかないというよりかはあっという間に汗が蒸発していくのであろう、すぐに喉が渇きペットボトルの水の消費量がハンパねぇ。
ビーチはすぐそこにあり、熱い砂浜を歩くとたくさんの漁船が砂浜に引っ張りあげられて停泊してた。最初見た時は打ち上げられたのかと思ったほど砂浜中腹にあったから、停泊って言葉は似合わないな。
細かい貝殻のビーチは歩いてても気持ちが良い。海にも入りたくなるけど、もうすぐ南西モンスーンがやってくる時期が近付いてるもんで、波が小さく砕けて海の色もそれほどきれいじゃないのが残念だよ。まぁ、今日は海水浴が目的じゃないから泳ぐ用意もしてないしな。旅の後半の東海岸までビーチでのバカンスはお預けだ。
ビーチを出て裏道を北上して行くと魚市場があった。だけどさすがに昼過ぎまでやってる訳もなく、小さな商店で魚や干物がが売ってるくらいだな。閑散としたお店の並ぶ裏道をひやかしながらそのまま歩くと、裏道とメインロードが交差するところへ出た。
ここで、ついに発見!この町で一番大きな仮面劇の工房だ。
いよいよ仮面劇のなんたるかが判明するのでワクワクが止まらない。
それにしてもお客が全然いないからほぼ俺の貸切状態だ。たまに観光客が数人トゥクトゥクに連れられてやってくる程度で、しかもみんなすぐ帰っちゃうから、なんか俺だけ長居してる雰囲気だぞ。
いや、俺は伝統芸能に興味があるし、こんなにたくさんの種類の仮面があるから細かく何度も魅入ってるだけだからね。
ここは2階がお土産物屋になってて、下の工房で作ってるお土産用の仮面を販売してる。その大きさはさまざまでちゃんと被れるようなサイズから手のひらサイズのミニマムなものまでありどれを買おうか真剣に悩む。
独特の派手な色あいも何色にしようか悩むし、なによりも種類が多すぎてどのデザインの仮面にしようかと、まずそこから悩むのだ。デザインにはそれぞれ意味があるからオーナーに質問攻めで教えてもらった。
仮面の作業工程は8人それぞれに役割が決まっている
奥から削り出しから型出し木彫りの行程だ
1階には仮面博物館が併設されてて、大衆劇「コーラム」や悪魔祓い「トウィル」、宮廷での儀式、豊穣の祝いとかの様子がマネキンで再現された当時の様子がよく分かる展示があり、俺にとっては垂涎ものの人形劇で使う操り人形も展示されている。
これはもう期待が高まり一刻も早く仮面劇&人形劇が観たいぞ!
いったいいつ上演するのだ!?
オーナーは言う。
「毎日何時からショーが始まるとかじゃないんだよ。ショーが観たいなら20000ルピー。20分間だけど要望があれば好きな演目やってあげるよ。」
・・・・なんだと? 定期公演とかじゃねーのかよ。夕方に1時間くらいやるならそれ観て日帰り観光終わりにしてコロンボに戻ろうとか勝手に思ってたけど想像を絶する回答が返ってきたな。
コロンボに来てまだ2日目。この国の物価もよく分かってないから日本円に換算して2万ルピーがちょいと高額でも今の内ならまだ支払えるんじゃないか?って頭によぎったから軽く計算してみるが、どうやったって20分間のショーに日本円で1万4千円も払う気にはならん。
お前らはアイドルかっ!
10人で来たって1人1400円。しかも20分間だろ?仮面劇2種類と人形劇とあとなんかひとつやっても1演目5分くらいじゃん…
これは完全に呼ばれてないと確信した俺は早々に諦めたよ。
アンバランゴダにこういった仮面劇の工房が2つあるって情報だったけど、実際に町を歩くと他にもいくつか工房はあってどこも家族経営でやってるみたい。こうなったら全部行ってやろうとか思ったら営業してないとこもあり結局3つの工房見学しか出来なかったのな。しかもここ以外の2つはウチで作ってます、お土産にどーぞ。って感じのお店だった。
伝統芸能なんだし仮面劇で売ってる町なんだからもうちょっと本腰入れてがんばってほしいもんだ。
でもまあ、こういうのって継承者が減って廃れていくのが今の世の中なんだろうなぁ。さみしい限りだが、世界無形遺産にでも認定されて守られていってもらいたいな。もったいないよ。
お昼にアンバランゴダに到着して町歩きを始め、漁村やビーチ行って魚市場見て仮面工房巡りしたりと楽しい散策をしてきたが、本当に小さな町だからひと通り見尽くしてもだいたい3時間くらいしか時間経ってなかった。
ショーも観れなかったし日帰りにして正解だったなぁ。
あっという間に元の時計塔のバスターミナルまで戻って来ちゃったから遅めのランチとおやつ喰ってコロンボへ戻ることにした。
帰りは国営バスじゃなくって私営のラグジュアリーバスだ。このバスはどんだけ豪華なのかって言うと、車体にしっかりトヨタレンタリースて書いてある20人乗りくらいのトヨタ・コースターだ。
最大の特徴は冷房吹き出し口が壊れてないクーラーがちゃんと作動するミニバスなのだな。
あとあと思い返してもこんなちゃんとした乗り物はこのラグジュアリーバスだけだったよ。
スリランカ名物・ライス&カリー やっぱり手で喰うカレーは美味し
スリランカは飯も美味いし、英語も通じるしで旅しやすい。
帰途へ着くまでの間に見た西海岸へ沈んでいく夕陽も格別なものがあり、ショーが観れずに多少の心残りはあるものの、行きの男の子との出会いや仮面劇・人形劇に少しでも触れられた経験に、とっても充実した『仮面の町・アンバランゴダ』へのデイトリップであった。
Ambalangoda,Sri Lanka 09/sep/2018 From Naokys!
あの忘れられた名旅ブログ ナオキーズ! 『 ぶらっと、旅る。 』
2018年早秋、ナオキーズ!俺旅の目的地は激辛と噂の仏教アイランド・スリランカ。
『スリランカピリ辛仏教巡り』の旅に乞うご期待!!
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