「 登山鉄道999 」  2009年8月6日~8月8日
 

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                 現役蒸気機関車:ニルギリ登山鉄道!!



 日本全国の鉄道オタクの鉄男&鉄子ーー!!

 お待たせ致しましたっ! 数ある鉄道オタクジャンルのなかでも希少価値であります、「インド登山鉄道マニア」の、ナオキーズ!参上。


 さあ今回は、ニルギリ登山鉄道に乗って参りましたー!


 こいつは 『 インド道 6th ダージリン・ハニー 』 のダージリン・ヒマラヤ鉄道と同じく2005年に世界遺産登録された歴史ある鉄道なのであります。

 メットゥパーラヤム駅からウーティ駅までの46kmを5時間20分もかけて走破。

 標高2300mの避暑地・ウーティを目指しました!!

 

 ケララ州コーチンを出発したバスは一路、タミルナードゥ州のコインバートルを目指す。

 そのコインバートルという街でバスを乗り換え、メットゥパーラヤムという町まで行き、そこで一泊し、朝7:10発の登山列車に乗るちゅー算段だ。

 まあうまく流れでトントン拍子に行けばの話だが。
 

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                   隣にド派手なトラック登場


 バスに揺られてコインバートルの街まで行く道すがら、前のバスの後方の看板にこんな宣伝が。
 

 「 JUMBO RUSSIAN CIRCUS 」 6/26~
 

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                   見つけちまったならしょうがねぇ

 なんと。

 サーカスですか。


 1日3回公演1pm  4pm  7pm。

 何より登山鉄道の運行状況がまったくわからず、早くメットゥパーラヤムの町に着き、駅に行って当日でもいきなり切符買って乗れるのか、はたまた早く予約しなきゃ乗れないのか、そこが知りたいのだ。

 のんきにサーカスなんか鑑賞してる暇などは、ないのだ。

 しかも時間的にもう午後の3時近く。

 午後4時の公演が観れなければこの街に1泊する事になり、次の日の朝早くに出発するであろうニルギリ登山鉄道に乗ることはまず不可能なのだ。

 つまり、サーカス観たら列車に間に合わないという事なのだ。

 そもそも今日は8月の6日(2009年当時)、6月26日から公演が始まっててまだやってんのか!? だ。
 

 そんなキワドイ選択が俺に許されようか・・・・

 しかし俺様はここ最近わがままに拍車がかかり、もう全部手に入れないと気が済まない性分になっちまっちまってる。


 だ ・ か ・ ら


 サーカス観て、暗くなろうが無理繰りバスでメットゥパーラヤムの駅まで行って、次の日も朝から列車に乗ってやろう。

 全部俺様の思い通りに実現させるのだぁ~!!

 
 旅の神様はそんな俺の事が大好きなようで、コインバートルのバススタンドに着いたのが15:20。

 そこでオートリキシャのオヤジに尋ねると、

 「 サーカスか! 任せろダンナ。 後ろに乗りな!! 」

 と、勢いよく飛び出した。

 
 サーカス大好きの会・会長の俺としては一度、インドのサーカスを観て見たいと常々思っていたのだ。

 シルク・ド・ソレイユなどには興味がなく、名も知らぬ場末のサーカス団に興味をそそられるのだ。

 それはストリップショーをメジャーな劇場に観に行くよりも、廃れたストリップ小屋を覗き見に行くのと同じ感覚だ。
 

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                   なんともチープさに心ウキウキ・ウォッチング♪

 会場はかなり大きい。

 大テントの周りには団員達のテントが所狭しと並んでる。

 その中には象や駱駝や馬などのアニマルも待機している。

 まさに50年代のアメリカのサーカス団の雰囲気。

 もうこりゃ入る前から抜群だぜ。

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                メインの象も 出し惜しみなしに入口に待機

 当然一番高価な、一番前のかぶりつきの席を買い求めた。

 海外ならでは出来る贅沢なのだ。

 日本じゃ一番前のスペシャルシートなんか何万円とかするだろうけど、ここインドのコインバートルのジャンボサーカスは、真ん中一番前の席がお値段驚きの300円。

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                  スペシャル最前列シートからの会場の様子

 それも客がほぼいない。

 300円のスペシャルシートは各ブロック一番前の席に数人座ってるだけだ。

 他の客は100円の後方大衆シートに陣取っている。

 それでも全席の3分の1しか観客がいないので一番後ろでも十分堪能することは出来るだろうな。

 
 わくわくはサーカスが始まってもわくわくしっぱなしだったよ。

 一番前の迫力はさすが300円。

 象が来ようがサイが来ようが犬が来ようが猫が来ようが安全のための柵やネットなど無し。

 アニマルがちょっとでも外に興味をしめそうものなら容赦なく動物使いの鞭がしなる。

 ロシアンサーカスとは名ばかりで、ロシア人は3人いただけ。

 他は東洋系の顔をした背の低いぽっちゃり系の女がほとんどと、背の小さい筋肉隆々のこれまたアジア系の男らがメイン。

 ちょっと指導者的な人たちはひげ面インド人だが、レオタードを着たメタボのマリオにしか見えないので威厳も何も感じられねえ。

 音楽はもちろん生バンド生演奏。

 ドラミングのタイミングと演者のキメのタイミングの微妙なずれが微笑ましい。

 何より間髪いれずに次から次へと様々な演技が繰り出されるが、その約80%が失敗するという超スリリングな展開。

 大道芸に毛の生えた程度の演目だが、それでも、えっ、失敗っっっ!?となると手に汗を握らざるを得ない。

 間近でそのハラハラドキドキが観れるというのが、名も知らぬ場末のサーカス団の真髄だ。

 すべて完璧にこなすよりもずっと身近に感じられて人間ぽい、だからこそ成功したときの歓声は心の底からの拍手となるのだよ。

 ピエロは全員小人症。

 あいつらのコミカルな動きは天性のものなので そりゃもう楽しい。

 くだらねえのに笑いっ放しだ。

 日本もあいつらを隔離しないでもっと世の中に出してあげればいいのに。

 たぶん現代の日本の若者達は日本人の小人症なんて存在しないって思ってんじゃねえの?

 小人なんて、白雪姫の7人くらい童話的な世界のキャラだと思ってんだろうな。


 休憩も挟まず、一気に2時間ちょいサーカスは走り続け、時間を忘れるほど楽しんだ。

 やっぱりサーカスはこうでなくっちゃ!! 

 おもろい、おもろい。 大満足だぁ。

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               団員どものテントは 昔ながらのテント

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                 終わってからも 会場前は遊園地祭り

 
 さてと、ひと息入れたところで夕方陽が沈みかけて来た頃、さっさとコインバートルを後にして、いよいよメットゥパーラヤムの町までバスで行く。

 いったいどのくらいの距離があるのかも分からんかったが、1時間20分ほどで到着した。


 夜の8時前、メットゥパーラヤム駅まで行くとまだ予約窓口が開いていたので明日の列車の事を尋ねた。

 「 予約は受け付けてないのです。 明日の朝5時半にステーションマスターの部屋へ行き列車のトークン(仮切符)を貰いなさい。 それをこの窓口に持ってくるのです。 そうすればあなたは切符を手にすることが出来るでしょう。 」

 俺はインド人の言う事は一度じゃ信用しないので、すぐにステーションマスターのところへ行き同じ質問をした。

「 お前は明日の朝5時半にまずここへ来るのだ。 そしたらトークンを配り列車のチケットを得ることが可能だ。 」 

 どうやら明日の早朝5時半にここに来なければならないようだ。

 
 駅の真裏にある一軒の宿にその日は泊まり、翌朝5時過ぎにステーションマスターの部屋の前へ出向いた。

 5時半を回る頃その窓口は開き、数人の国内外の旅行者が並ぶ。

 俺は早い方だったので列の前のほうだ。

 そのトークンというものはただの紙に手書きで行き先を書いただけの代物で、これを貰うために朝早くから待っていたのかと混乱する。

 それを切符販売の窓口に出すと、7:10発ニルギリ登山鉄道ウーティ行きの切符(自由席)を得ることが出来た。

 しかも何故だか日本円にして16円という捨て値。 世界遺産なのに・・・・

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                                      朝ぼらけの 登山鉄道群    

 
 距離にして46kmとは言え、高さは2000mを越す高さまで駆け上がるので、4両編成のその客車の後方に蒸気機関車が押すような形で連結された。

 そしてゆっくりと力強くシュッシュッと音を立て山道を上昇してゆくのだ。

 ところが走り始めは勢いが付かないのか、途中まで進むと止まってしまい微妙に下がったりする。

 おいおい、大丈夫ですかー!? 石炭係ガンガン放り込んで燃やしてちょうだいよ!!

 で、勢いが付くと一気に駆け上がってくれた。 
 

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                 蒸気機関車を繋げ!!

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                 吹き上げろ! 蒸気!! ポッポー。

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                 うれしそうなインドの乗り鉄君
   

 道中はトンネルが多い。

 短くて50mくらいのをいくつも通り抜ける。

 インド大陸で列車は全国くまなく走ってるが、恐らくトンネルというものはほとんど存在しないんじゃないかと思うな。

 いままで見た事ねえし。

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                 インド国内ではレアなトンネル~

 そんなだからか、もう乗ってるインド人(乗客の95%はインド人観光客)のはしゃぎようが半端ねえ。

 最初は、あぁそうか、トンネルなんか珍しいんだろうなぁ。って思ってたが、5時間もトンネル入るたびに奇声を上げられるとうざくてしょうがねえ。

 トンネル抜けるたんびに一人づつ消し去ってやろうかと思ったよ。

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                 トンネル入ると車内は真っ暗… 消すなら今だっ!!
 

 そんな列車だが、登山と名が付くだけあって車窓の景色は絶景だ。

 渓谷を渡る橋をいくつも越え、広葉樹林地帯から徐々に高山植物が増えてきて針葉樹林帯に景色が変わる。

 そういう風景が高度の上がりを教えてくれ、気温もだんだんと涼しいから寒いに変わってくる。

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                 誰かいるぞ! こっち見んなー

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               恐ろしいほど ボロい橋…

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                 枕木の長さだって ばらばらだぁ

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                 岩壁だって すれすれだぁ


 ひとつの橋を通過したとき、その下方の山林に動く物体を見た。

 それはほんの数秒の事だったが窓側の乗客は全員が目撃したのだ。

 驚きの声が車内に響き渡り、歓喜の声が上がる。

 それは2頭の野生のインド象だった。

 2匹が並んでそこらの草木を喰ってる最中だったのだ!!

 象なんてインドの街中や寺院でしょっちゅう見れるから別段珍しくないし、昨日もサーカスで見たけどよ、野生の象なんて生まれて初めて見たぞ!

 すげえ、やっぱりいるんだな、野生の象ってのは。

 インドやっぱなんでもありだな。 もう好き好き大好き!

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                途中途中、トーマスには水分補給が必須事項

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                 いつの間にか 高度があがってた

 
 そんな素晴らしい車窓は目的地手前まで続く。

 クーノールという駅からは、蒸気機関車の役目が終わりディーゼル車の出番となる。

 客車を押す蒸気機関車から、客車を引っ張るディーゼル車に連結が変わるのだ。

 早ぇ、めっちゃ早ぇーぞ、ディーゼル車。

 しかも力強い。

 文明の進化を感じたよ。

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                 急斜面には線路以外に 滑車的レールも必須事項

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                 ついにディーゼル車の見せ場だぜ 速度もあがる


 この辺りから、芝生が多く茶畑も多い高原地帯へと変わって、ものすごく広いゴルフ場みたいになる。

 家々もお洒落で可愛い。

 さすがにイギリスの避暑地だっただけあって残していったものにヨーロッパのセンスを見出すことが出来んのな。

 でもそこで蠢いてる人間はインド人だが。

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                 茶畑通過中

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                  踏切通過中

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                   クーノール駅通過中

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                高原通過中

 
 5時間20分後、避暑地・ウーティに登山鉄道は到着した。

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                  やっとこ着いた ニルギリ登山鉄道旅の終着


 駅降りると小雨も降っててさみぃ。

 別に南インドにいてもカラッとした春先のような気候で暑くなかったから避暑地に来る必要もなかったんだが、これも全てはインド登山鉄道制覇に向けての試練だな。


 で、ここウーティという街はチョコレートの量り売りが名物みたいで、体の水分の80%がチョコで満たされている俺にとっては母親の母体に戻ったような心地になったよん。
 
 この街の見所は、湖と植物園、バザールくらいだ。

 他にやる事もたいしてねーよ。

 夢見心地で馬に乗って湖の周りを1周したり、湖ボートハウスの遊園地では3Dシアターを3Dグラス無しで見せられたり、珍しくゆでもろこしがありそればっか喰ってたり、植物園の急勾配に肺が破裂しそうになったり、少数民族トダ族の家や刺繍をみたり、名産品ユーカリオイルの臭さに参ったりと、 あら? 意外と堪能してんじゃないの。

 それでも一日中肌寒いんで2泊してウーティは終了だ。

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                 潜入! 街中バザール

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                植物園の謎の大樹木 キモッ

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                 俺はインドで 妖精を見た…


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                トダ・トライブのかわゆい一軒家

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                避暑地ウーティの街並 手前は競馬場

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                 湖畔では荒馬をてなづけた

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                インドのミッキーに何をする
 

 お次は、カルナータカ州。

 南インド3つめの州だ。


 さてさて次回はどんな冒険が待ってるのか!? 乞うご期待。


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             人力こそがターボジェット!!  次回までにはどけときま~す。


                                             From Naokys!



※2009年5月20日から2009年10月22日までの五カ月間にわたった抱腹絶倒な大天竺一周の旅、あの名作【 インド道 】シリーズがリメイクされ、ナオキーズ!旅ブログ 『 ぶらっと、旅る。 』にて蘇る。


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