「 行くつもりなんてなかったんだよ、でも呼ばれたもんだからしょうがない、つい寄ってみたのだよ 」

   ~2009年9月5日

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                  一口サモサと一口チャイで小休止


 インド1周を目的として俺は今せっせと大陸を駆け巡っている。

 なかなかうまい事ぐるっと周れてる気がしていたのだが、インド大陸の真ん中あたり、ボーパールって街から先へ進むルートが暗闇に包まれてしまったのだよ。

 ド真ん中だけにどこにだって行けるのがむしろ悩みのタネ。

 どうすっかなぁ、こっから。

 もう時間もないし、一気にデリー戻ってさくっと北方領土巡って、さくっと帰国かなぁ?なんて考えてた。

 でもデリーまで一気に、ってのが列車にしろバスにしろ長~~い移動になる。

 もう長時間の長距離移動とか無理なんですけど・・・・ 年齢的体力的精神的に弱。

 そんでおっさん、だいぶ疲れ溜まっとる気がすんぞ?


 …と、思い悩むも思いがけなく旅日程がちょびっと寿命延びた。

 俺の事前の蓄えのおかげでどうにか10月後半までは最悪延ばせるのだ、インド道をまだ往く事を。

 まぁ、実際そこまで長引くこともないだろうが。

 でも日本で待ってるハニーは俺のそんな裏読みのせいで、さらに待ちぼうけの破目に・・・・ ごめんな。

 君も大好きだが、インドも好きなんよ。

 「 あ~ぁ~、男の人って いくつも愛を持っているのね~ 」

 って昔っから鬼嫁も歌ってるっしょ。



 ということで、俺がインドの中でも大好きなラジャスターン州にあり、まだ訪れたことのなかったウダイプルとプシュカルに行くことにした。

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               何気ないラジャスターンの街並みも落ち着くのさ


 しかし今いるボーパールの街からウダイプルという街に向かう直行列車は無しだと。

 近場の街の駅に行くにも乗り換えないと行けなくって、直行便はないんだと。

 せっかく行く気満々だったのに、いきなりめんどくさくて挫折か?

 諦めてデリー行きの列車でも取るかいな。

 しばしインド全図を眺めつつ再検討。

 今回は一度行ったことのある地域や街はなるべくスルーしてた。

 そうしないと1周なんて出来ないし、なるべく無駄を省きたかったから。

 それでも中継地点となるデリー、コルカタ、ネパール、チェンナイは致し方ない。

 何度も行ってるバラナシ、プリーはもう運命だから致し方ない。

 ボンベイなんかはまさに無駄。

 ましてやグジャラート州なんてかすりもしないって思ってた。

 でも、このインド大陸のド真ん中から這い出す為には西に抜けにゃあいかん。

 ここからダイレクトで行けて、かつウダイプルに近い街。

 それがアフマダバードだった。

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               とにもかくにも 列車にて駅に到着したぞよ


 アフマダバードはかつて1日観光で階段井戸とかの名所も見てるのでもう興味はない。

 きったねー工業地帯の煙巻く大都市のイメージしかないし。

 だから今回まさかグジャラート州に足を踏み入れるとは思いもしなかったよ。

 しかしそのグジャラート州が、

 「 インド1周してんだって? だったら俺んとこにも来てくれよ! 」

 って言ってる気がしたので、とにかく夜行列車に乗り込んだ。

 朝8時10分、アフマダバード駅到着。

 駅前のホテル街がちょっと小奇麗になってる気がする以外に他はどこも以前来た時と変わっとらんみたいだな。

 波のように押し寄せるリキシャワーラーの、

 「 どこまで行くんだ、さあ乗れっ! 」

 つー、高波をうまい事サーフしながらちょっと離れた通りまで出る。

 そこでオートリキシャを捕まえて、長距離バススタンドへと走った。


 バススタンドに着きリキシャから降りた瞬間、

 「 ウダイプル? 」

 と声がかかる。

 お前は超能力者か!と思わせたその男は1台のバスを指差し、

 「 あれだ。 」

 と言う。

 いや、しかしもう走り去ってますが?

 聞くともうこのあとしばらくウダイプル行きのバスは出ないと言う。

 何気に2人でバスの後を走って追いかけ、そいつと一緒にリキシャにまで飛び乗りバスを追跡。

 信号付近で捕まえてそのウダイプル行きのバスに何とか乗れた。


 結局、グジャラート州には駅からバスに乗り換えるまでの、たった20分しか滞在しなかったぞ。

 一応呼ばれたからには、バスの時間まで暇があればちょこっと観光を、なんて事も考えてたけど、もう呼びっぱなしでほったらかされたなぁ、すぐバス見つかったし。

 一瞬だけでも立ち寄れば満足かい? インド人っぽいな気の変わる素早さが。

 列車とかですっごく仲良くなったのに、下車時に気付くと挨拶もなしに突然いなくなってる、みたいなね。

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                ここではラクダも一般車両だ

 グジャラート州はインドで唯一の禁酒法がある州。

 酒飲むと刑務所行きだ。

 そんな州とラジャスターン州の州境をバスで越えた途端、ラジャスターン側にレストランがあり、

 「 BAR&BEER 」

 って看板がこれ見よがしに掲げてあった。

 みんな酒好きだもんなぁ、インド人も観光客も。


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               砂漠の気配を感じさせるインドの西、ウダイプルの街


 ウダイプルはホワイト・タウンと呼ばれてる。

 湖の綺麗な城壁に囲まれた旧市街の街。

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               街中にはかつての王宮もそのまんま


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                 泊まった宿は共有スペースがカワイイ


 しかし俺がここに来た最大の目的は、そんな栄華を誇った時代のロマンチックな情景に浸る事ではなく、ローク・カラー・マンダル民族博物館へ行く事に他ならない。

 ここはラジャスターンの持ち技・操り人形の博物館であり、昼間と夜にパペットショーを演ってるんだぜ?

 世界の伝統芸能研究部、中でも人形劇推しのザ・ナオキーズ! 行かなきゃ生まれてきた意味がないでしょ。

 夜の部も合わせて見るために夕方博物館へ向かう。

 がしかし。

 夜の部は、やってませんってよ?

 え? だって俺、パペットショー見たいが為にウダイプルまで来たんだよ?

 列車乗ってバス乗って19時間もかかってさ!


 昼の部のちょっとしたショーは演るから、まあそれまで館内でも観ててよ。

 と促されがっくり肩を落としながら博物見物を始めると、ちょっとだけ元気が出てきた。

 気分が楽しくなると全てがチャラになるね? 人間の感情っていい加減だね!


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                祭壇のようなパペットケースがおいらも欲しい…

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               お面も人形も… もう博物館ごと丸ごと欲する

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                ヘナタトゥーのデザイン画 お洒落女子にかかせない

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              ドン・ガバチョ的体型と 褐色のキャラ達  あぁ… 楽しぃ…

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               さぁ~、始まるざますよぉ!

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               回る回る あちしは回る@@@@@@


 見物が1時間も過ぎると、外で待たせてたリキシャーワーラーが館内にやってきて、

 「 まだ見るのか? もう1時間以上経ってるぞ? 」

 と、うんざりした顔で催促してきた。

 「 お前、俺はこういうの見出すと止まらねんだよ。 それにしたって夜のショー演ってないってのが無念でならんわい。 」

 「 何? お前はパペットショーが観たいのか? なら他の博物館で夜7時から演るぞ。 」


 この時、パペットの神が確実に俺に降臨して来た。

 「 何をー!? 向かえーー! そのフォークダンス&パペットショーの会場へーーー!!! 」


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                もう道端にすら 音楽の民がいる街なのだ

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               この素敵な装飾に彩られた外観の建物の中へいざ!!

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               こんな豪華なショーを毎晩上演!? ス、ステキすぐる(((( ;゚д゚)))

 旧市街中心、ジャグディーシュ寺院の裏手にあるガンゴール・ガートの入り口脇にその博物館はあった。

 宮殿のような広い建物全部が博物館となっていて、その内部2階の吹き抜け中庭テラスでそのショーは行われた。


 もうすっごい雰囲気いいじゃん!

 屋内なのに屋外で、装飾カワイイ石造りのパレステラス。

 1本の木がまたいい味だしてる。

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               ハルモニウムも準備されてて 高まりで待ちきれん!!!

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               ロケーション的にもハーレムの王 我の為に舞え、舞うのだ 

 そんで床に座ると、待ってましたとショーが始まる。

 両面太鼓と鈴とハルモニウム&歌の3人の楽団に合わせて、ラジャスターン砂漠の伝統芸であるトラディショナルダンスが次々と繰り広げられる。

 ひとつのダンスに付き1人、または2人でいくつもの違うダンスを披露する。

 それはまったく飽きることなどなく永遠に観ていたい衝動に駆られる。

 途中でパペットショーも入り、箸休め効果も抜群だ。

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               音とリズムと声と動きがインドの夜を震わせる

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               頭の上に火が灯る 

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               そして回る回る 恋の炎はいつだって回転      


 観客は7割西洋人で3割インド人。

 さすがと言うか、西洋人は盛り上げ方が上手い。

 もうちょっとした変化や業がダンスの最中披露されると拍手の嵐。

 タイミングもばっちりの拍手の応酬。

 観客が盛り上がれば当然ダンサー達にもそれは伝わり、笑顔が見られはっきりとやる気のある顔立ちになり、よりいっそう張り切って良い動き、パフォーマンスを魅せてくれる。

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                衣装の色彩も美し~く 華麗に舞い踊り

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                ビシッとキメッ     どやっ!

 ショーは言わば生ライブ。

 ステージに立つ方もオーディエンスに見せる為にそこに立つ。

 そしてそのステージにいるやつを見に来てるのが観客だ。

 両者が同じ気持ちになった時、盛り上がりは最高潮を向かえ素晴らしいライブになるだろ? 見てもらいたいから魅せる。

 見て気持ち良くなりたいから盛り上げる。

 それが 「 ライブ 」 ってもんだ。

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          操り師だって姿なき主役 存在を忘れさせる魂の吹き込みようったらあーた

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                首 ビョ~~~ン芸  こ、こんなの初めて。。。。

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               壺女が登場したと思いきや・・・・!?

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                回りだ~~~す!

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               壺増えだ~~~す!!

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               …で、最終的に10壺アタマに乗せました 。    

 サーカスでもこれくらい盛り上がればいいのにな。

 これを機に是非インド人達にライブの見方を知って欲しいと思うよ。

 来て良かったね、ウダイプル。


 ラジャスターンの砂漠の民、抜ける青空、乾く空気、ロマニーの源流。

 やっぱインドの中でもラジャスターンは一番好きかもなぁ。

 ケララもいいけど。

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               よっしゃぁ~~  ラストいっくぞぉぉぉぉぉ 

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                同じアホなら 回らにゃ ソンソン

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             色も匂いも音も雰囲気がすべて娯楽 五感で感じるエンターテナー               



 そんなこんなで現在は次のラジャスターン州の目的地、プシュカルという街に滞在中。


 なんだかんだでウダイプル、1泊はしたけど滞在は24時間いなかったぜ。

 それなのにこの充足感。

 好きなもの興味あることの時間の密度ってーのは絶対確実に濃い。 普通じゃない。


 それにしてもなんだか最近の旅移動のペースが急ぎ足になってるからか、ついやる事済んだからって移動しちゃってたよ!

 日々全然ゆっくりしてないもん、休みのようで休みでない。

 だからヒマな時やろうと思って持ってきてるディジュも口琴もポイもほとんどやってない。

 やってないというか、やる暇も時間も皆無なんだよ。

 日本にいた時の方が絶対やってるって!

 で、今じゃただのお荷物と化してるぜ。

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               湖上の白いパレスは過去のハーレム現代の高級ホテル

 そろそろ日曜日が欲しいんです。

 朝時間を気にせずに寝ていたいんです。

 丸々一日観光&街歩きに費やさずに宿でまったりしたいんです。

 でもそれをするとインド1周なんて限られた時間では出来ないんです。

 特に俺は見たい所、行きたい所があり過ぎる欲張りの塊のような人物ですから。


 インド1周して過労死なら、ガンガーに流してもらえるのだろうか・・・・



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           砂漠に帰るバスか、来週の木曜日か、どっちが先に来るかのぉ・・・・


    
                                                 From Naokys!



※2009年5月20日から2009年10月22日までの五カ月間にわたった抱腹絶倒な大天竺一周の旅、あの名作【 インド道 】シリーズがリメイクされ、ナオキーズ!旅ブログ 『 ぶらっと、旅る。 』にて蘇る。



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