「 80遺跡ハンピ1周 」  2009年8月17日~8月19日


DSC04395

               左上の集落がハンピ村の中心街  あとは岩山ばっかだ


 本当はくそみたいなカルナータカ州には戻ってきたくはなかったんだが、ハンピがそりゃのんびりした所で、世界遺産にも登録されてて、デカン高原の奇異な景色を体ごと感じ取れるというんでやって参りました。

 14世紀から16世紀にかけて栄華を誇ったヴィジャヤナガル王国の、デカン高原の岩山要塞、夢の都・ハンピ。

 デカン高原はインド中央部を占める大高原地帯で、その景観は行って見て来た人でないとスケールと雰囲気が全く伝わらないと思われる。

 日本じゃ絶対に見られない壮大な景色なのだよ。


 なんというか、写真じゃ絶対に伝えきれないド迫力の大地の景色なのだが、俺の手持ちはただのコンパクトなデジカメなもんで上手い事ド迫力の大地の景色が見せられないのが残念無念でごわす。

 だから、そんな雄大な景観に興味がある人は目の前の、または手元の便利な箱でちょちょいと電脳世界へサーフして調べてちょうだいな。


 ハンピは3つの範囲に遺跡が固まって点在してるが、がんばれば1日半程の観光ペースで見ることができる。

 俺は初日の昼すぎからどんなもんかと歩いて周れる「東の遺跡群」と呼ばれるところをさっそく見学に行ってきた。


 地球の歩き方では、3つの遺跡群の見所は10ヶ所くらいに絞られてる。

 まあ、遺跡好きじゃないやつもいるだろうし、遺跡なんか見なくても充分長居出来るほど心地良い地でもあるから、ガイドブック的にはそんなもんでよろしいとしよう。

 一応、26平方キロメートルの範囲に主なものだけで40近くの遺跡が点在するとも載せているので何も問題は無いだろう。



 だが、実際行ってユニセフの看板を見ると、なんと遺跡番号80まで降ってあるじゃねえか。

 どうりで歩いてる途中にやたらと寺院遺跡が出てきて、どこをどうやって回ったらベストなんだろうかと思い悩むはずだよな。

 かつて世界遺産検定を受け、かつ東京で江戸遺跡発掘を生業としていた、このいつのまにか遺跡好きの俺がこのまま把握できずに素通りが出来様か。


 いや、出来まい。


 その日は「東の遺跡群」をほぼ周った。

 ハンピ一番の目玉商品ヴィッタラ寺院が「東の遺跡群」にあるのだが、こいつは最後に残しておいて、メインに匹敵するアチュタラー寺院を見学後、脇道に入り小高い岩山・マータンガ山を登り、山頂のマータンガ寺院からハンピ村を一望する。


DSC04392

                ほんとに「岩山」だから 登ると疲れる


DSC04400

                20cm超えの巨大ヤスデもおるでよ


 俺は高いところから眺める景色が大好きだ。

 ここも素晴らしい景色を見せてくれたので心が晴々するよ。

 なんちゅうか世界は全部俺のモノ的な錯覚に陥ってしまうのな。

 本当にこの景色はウチに持って帰りたい。

 浅草のアパート(2009年当時の居住地)の窓を開けて毎朝この景色が眺められるんなら、ラッシュの山手線に乗っての出勤もきっと我慢出来るはずだよ。

 さて、まずはその80遺跡を把握する為に地図を探した。

 だがどこにもユニセフの看板ほど完璧な地図が売ってない。

 どれもしょぼいのだよ。 メインばっかでさ。

 しょうがないんで看板をデジカメで撮ってなんとか把握するしかないようだ。


 ところで、この場でどこどこの遺跡をどういう風に周ったとか、どの遺跡はどんな造りでこの柱の彫刻と言ったら!とか、この神像の腰のなめらかな角度に萌えとか、気に入った像や壁画の前で10分動けなかったとか、そういうマニアックな事を長々と書いてもきっと誰も興味を示さないか、途中で読むのを放棄するであろうから、細かい事柄は全て割愛させて頂く。

 本当に興味がある人は俺の帰国後、各国宗教寺院建築物・各国神像仏像について朝まで語り尽くそうではないか。

 写真をじっくり見ながら。

 その節はよろしくです。


DSC04404

               村一番のゴープラム この辺りじゃ高層ビル


DSC04421

              恥かしげもなくおっぴろげ  何百年も露出し続ける女神だ   


 なもんで2日目はまず近場の「南の遺跡群」を歩いて周り、次に「カマーラプラム村・北側の遺跡群」をレンタサイクルを借りて周った。
 

 南の遺跡群を歩いてると舗装された道のド真ん中に、でかくて黒いサソリが車に轢かれたのか、潰れて死んでる。


 ・・・・こんな、こんなでけぇサソリがいんの? この村・・・・


 むしろ舗装されてる道以外は全部高原地帯で草ボーボーよ?


 そういえば、あれはこの村にくる9日前(ちなみにこの日は8月18日)。

 そう、8月9日の初めてデカン高原を目にし、カルナータカ州に入ったバスでの事だった。

 貧粗な畑が車窓を流れ、干上がった小さな川に架かる橋をバスが越えた時、乾いた地面に長細く黒いにょろっとしたものが文字通り蛇行してるのだ。

 3、4秒しか見る事が出来なかったが、確かにあれは猛毒コブラだった。

 それも体の表面が黒光りしてるからキングコブラだろう。

 まさかこんな人が住む場所の近くに奴らはいるのか!?


 インドという国を初めて怖いと思った。



 睡眠薬強盗よりもサソリの毒が、ナイフ恐喝魔よりもコブラの牙が。


 さすがカルナータカ州。

 どこまでも俺に優しくないな。

 社会と自然の厳しさを生身で教えてくれるよ。



DSC04466

                そりゃないぜ セニョ~ル  踏んだのが俺じゃなくて良かった…


DSC04452

               クエスト① 囚われの美女を救え!!


DSC04453

              遺跡を活かした公道  マイクロバスも通すのがインドの心意気  


 しかし観光は止まらない。

 走り出したチャリはアップダウンの多い岩山を潜り抜け、砂と棘の大地の中にある遺跡群に突入する。

 さすがに全てを網羅する事は不可能だろう。

 だが、ひとつの遺跡の中がコンプレックスになってたりと一気に数をこなす事が出来たりもする。

 カマーラプラム村の博物館やその先の寺院も訪れる。

 だがきっと、もう一度ここに来る事があったなら今度は間違いなくモーターサイクルを借りる。

 そんだけ四十路に近い俺にはきつかったんだよ、チャリは・・・・


DSC04473

               ハンピには遺跡の素材が ごろごろしてる


DSC04491

               岩の割り方は日本と一緒 世界共通の岩山両斬波


 ここハンピにはまだ未発掘の遺跡が多くある。

 世界遺産に登録されてから23年も経ってるのに、いまだに発掘作業が続けられてるのだ。

 そんな発掘作業員に親近感を持ち、話し掛けてみた。


 「 こんな暑いのに大変だね。 俺も日本で同じ事やってるから辛さは分かるよ。 」

 だが、実際この日陰の無い炎天下、たいした道具もなく100%人海作戦なこの発掘現場はやりたくない。

 「 そうかぁ、あんた、日本で発掘してるのか。 1日いくら貰えるんだ? 」

 「 ん? う~ん、だいたい60US$くらいだな。 」 

 実際にそんなもんなんで正直に答えた。

 「 何!? そんな貰えるのか!! 俺も日本で発掘したいなぁ・・・・ 」

 「 ここで発掘作業してるんだから、日本ならすぐ即戦力になるぜ。 で、アンタは一体1日いくら貰ってんの? 」


 「 1日働いて200ルピーだ。 」



  ・・・・絶句。


 ちなみに俺のハンピで泊まってる宿が1泊200ルピーである。

 日本円にして400円也。


 格差社会とかそんなレベルではないな。


DSC04485

               復刻するまで無限の刻が流れるだろう

 こいつらより収入の少ない奴等なんてこのインドにゃごまんといるだろうし。

 それにしても、インドも日本ももっと発掘という仕事に対する賃金のカーストを上げてもらいてぇもんだぜ。

 あんな重労働でハナクソみたいな賃金なんだからな。

 現場の雰囲気はとってもフリーダムで楽しいんだけども。


DSC04559

               ハンピ遺跡発掘道具  日本製を寄付してあげたい


 さぁてと、話を戻そうか。

 とりあえず一目見ただけでもこなした遺跡数としてカウントする。

 もちろんその場に行っての遺跡見学が基本だが。

 広い王宮跡なんかだと、その敷地の高い遺跡に昇れば結構いくつもの遺跡を把握出来たりするんで、そういうのもカウントするという事だ。

 敷地内に含まれてるから目視でもOKだということでね。

 まっ、チートだけどよ。


DSC04537

                ロープレにありがち 旅の扉とかありそう


DSC04577

               南っぽさ全開 青い空・生い茂る椰子の木・栄光の夢跡


DSC04601

              インド古来のヲタ芸 サイリウムを握りしめ連携ロマンス うりゃおい


 結果1日半で、67ヶ所の遺跡を見て周る事が出来た。


 いや~、がんばったね。

 コンプリートまで残り13遺跡だったね。

 やれば意外となんでも出来るね。

 あとはなんかスタンプラリーなんかあるともっといいね!



DSC04612

                ハンピ名物お椀舟 一寸もこれに乗ったのだろうか


DSC04627

                 こいつがお椀ボート トリップもできるよ!(沈まなければね)


DSC04616

               沐浴しながら洗濯もできる 便利リバー


DSC04614

               くっちゃべりながら 自然の風が乾かしてくれる でも邪魔


 さて、ハンピ。

 まだ何日かゆっくりしたかったけど、この先の予定が詰まってます。

 ていうか、急がなければ残り時間がなくなるのです。

 残り約1ヶ月で中部から北部にかけてまだまだ多種多様のインドが待ち構えてるからね。


 次の目的地は南インド最後の土地、ハイダラバード。

 アーンドラ・プラディッシュ州の州都だ!!
 

DSC04625

                来週まで咬まれなきゃいいんだが・・・・



                                        From Naokys!





※2009年5月20日から2009年10月22日までの五カ月間にわたった抱腹絶倒な大天竺一周の旅、あの名作【 インド道 】シリーズがリメイクされ、ナオキーズ!旅ブログ 『 ぶらっと、旅る。 』にて蘇る。


  毎週木曜日配信中!!! 一遍たりとも見逃すな。




      おもしろかったら ポチッとな 

            ↓ ↓ ↓


          放浪記 ブログランキングへ

          にほんブログ村 旅行ブログへ  にほんブログ村