「 乗り物マニア&乗車オタク ~スベテノモノニノッテミタイ 」  2009年9月20日~9月23日

 
 
 お待たせ致しました、インド版ローカルバスで移動が好きな酔狂な皆々様方。

 今回はリシュケシュより237km離れたカルカーというローカルな町まで約8時間半、3回乗り継いで行って参りました、私ローカルバス移動マニアの、嫌いだ嫌だと言いつつも気付くと乗ってるおんぼろバス、ナオキーズ!で御座います。 


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               ローカル寝台バス 窓ガラス上部がベットスペースになっている
 

 さて、今回。

 ルートも良く分からず、どうやって移動して行くのかも良く分からなかったので、途中の街で1泊かとも思いましたが、思いのほかとんとん拍子に事は進み、旅特有のなんとかなるだろう。という言葉通り、何とかなってしまい順調に1日で目的地まで行くことが出来ました。

 やったね!!
 
 
 まずはリシュケシュからウッタラーンチャル州の州都・デラデゥーンまでの約1時間。
 
 山道を軽く進み、着いたバスターミナルが南インドのような立派なバスターミナルで驚きました。 

 
 そしてデラデゥーンからチャンディーガルまでの約5時間。
 
 デラデゥーンからすぐにヒマーチャル・プラディッシュ州に入ります。

 野生動物保護区の森になり、生き物の気配はするのですが、路肩で日向ぼっこしている猿の集団しかいませんでした。

 岩山は大理石の採掘場になっているのか大理石屋さんが何軒も連なります。

 そして大麻草の雑草群が無造作に道路端に咲き乱れておりました。


 あぁ、ヒマーチャル。

 さぁさ、ヒマーチャル。

 ニンともカンともですな。
 

 その野生動物保護区の森を抜けると、平野が広がりハリヤーナ州です。

 ユーカリの木が街路樹となってその向こうには水田が広々と広がります。

 そしてユーカリに負けじと防風林のように背の高い大麻草の雑草群が砂埃や排気ガスから我等の米を全身を真っ白に埃まみれにしながら守っていました。
 

 辺りがすっかり暗くなった頃、チャンディーガルの街に入ります。

 この街は一つの街なのですが、ハリヤーナ州とパンジャービ州の二つの州の州都を兼ねている連邦直轄領なのです。

 セクター毎に区画されていて街は碁盤の目のようにくっきりしています。

 そこに、緑や住宅街が静かに建ち並んでいるのです。

 走っている車はインドとは思えないほどみな小奇麗で、交差点ごとに信号があります。

 驚愕したのは信号が赤になると片側三車線の道路に、車がきちんと三台づつ列も乱さずに並んでいるのです。


 もちろん交差点に警察官がいないにも係わらずです。

 信号無視もありえません・・・・


 この街で違和感がある車はまさにいま我々が乗っているおんぼろバスの方なのです。

 クラクションをやたら鳴らしているのも我等がおんぼろバスだけなのです。
 
 なにか日本の都市に突然迷い込んできてしまった錯覚に心臓がドキドキし、帰国前のリハビリの必要性を考えるほどに緊張感を強いられました。
 

 それ以外にも不可解なのは、この街にゴミが落ちていないのです。

 まさかそんな馬鹿な?と思い、何度も道端に落ちていないかゴミを探してしまうくらい落ちてないのです。

 これは夜で暗く外が見えづらいからだと思いたいです。

 牛もまったく見ませんでしたし。


 バスターミナルに着くと、ここも立派な新しい雰囲気のバスターミナルでした。

 で、やはりゴミが見当たりません。

 もしや!?と思い当たりゴミ箱を除いてみると、中にはゴミがたくさん詰まってます。

 まさかこの街に住むインド人はゴミをゴミ箱に捨てるということを知っているのか・・・・?

 その事実に鳥肌の立つ戦慄を感じました。

 
 ここにはインド亜大陸に存在する多様性や、それらを一つに飲み込んだ混沌というものがどこにも見当たらないのです。


 すべてが均一で一定でフラットな雰囲気を街から感じるのです。
 
 もしかしたらこの街で実は何かしらの実験を行っているのかも知れません。

 セクター毎に各州の人間を集めて観察しているのではないか?

 同じ教育を施し、同じ食物を与え、どこの人種が政府に楯突き易いか、どのような生活習慣が害を及ぼすか。

 そして、それによって投与する薬の量を変えコントロールし易いように人種改良を行っているのではないだろうか?

 ここに住む人間に個がなく、ただ与えられた安心の中で日々それなりの暮らしを営み、自由を謳歌している、と思わされてるだけなのではないか? 

 と車窓からチャンディーガルの住人を見た時に感じていました。 

 
 そんなチャンディーガルだったのですが、バスターミナルで次の目的地・カルカー行きのバスはどこかね?と尋ねると、みながそれぞれ違う事や適当な事言い出します。

 いつもなら、はぁ~、またか。 この嘘つき土人共が!

 と怒りに血が上るのですが、この時ばかりは心底ホッとしたのです。

 あぁ、良かったぁ。 こんな不可思議な街でも住んでるのは普通のインド人だったぁって。 
 

 最後はカルカーまでの約1時間半。
 
 もう、夜だしいつ着いてもいいや、なんて思ってましたが、乗り降り激しい路線バスで、おもくそ混んでるうえに30kmほどの距離を1時間半もの時間がかかったのには、ちょいげんなりした次第であります。 

 
 到着した街・カルカーは西部劇の舞台になった事があるのでは?と思わせる程砂塵の吹く町。

 まだ夜の9時半なのに商店街のシャッターは軒並み閉まってて、それでいて歩いてる人が多い。
 

 フッフッフ、実はこの町の駅にこそ、俺は用があるのだよ。 
 
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               レトロな外観が心躍らせる 待望の電車 

 さあさあ、お待たせ致しました!!

 全国のインド登山鉄道マニアの諸君達!!!
 

 7つ海を制覇して5つの大陸征服し、朝と夜2つの顔を持つ空をも手中に収めたナオキーズ!今回の野望、4つあるインド登山鉄道完全乗車。
 
 惜しくも前回のマーテーラーン丘陵鉄道こそ雨季の為に運行しておらず泣く泣く諦めるしかなかったのだが、今回は乗ってきました5時間半。
 
 3つ目のインド登山鉄道、カルカー・シムラー登山鉄道に!! 
 

 これにてラスト登山鉄道です。
 
 当日券で乗れるのだが、それを得るのにもうなんちゅーか、寝る暇がなかった。
 
 夜10時頃に駅の窓口にて明日の鉄道に乗りたいと告げると、乗車券の販売は午前3時からだと。
 
 確かに、朝の便は4:00発-5:30発-6:00発の三便と、どれもが早朝だ。

 そしてどれも5時間程度で終着駅シムラー駅に着く。
 
 この三便も実は乗る時間によってクラスが分かれており、値段もバラバラだそう。

 これはあとから気付いた事なのだが、まぁどれに乗ってもそうは変わらないのがインド登山鉄道の現状だ。 
 

 そんな早くからの販売なら、今夜は宿を取らずにこのまま駅で寝て待っていようと決める。

 しかもうまい事職員に取り入り、日付が変わった12時に切符を売ってくれることとなり、4:00発の登山鉄道の切符を楽々と入手だ。
 
 この便はゼネラルというクラスで、いわゆる一番安い全席自由席。

 ちなみに全行程97km、乗車時間5時間半もかかるのに値段は日本円にしてたったの32円。

 この極端に安いってのもインド登山鉄道に共通する実情だ。 
 

 真夜中12時頃、すでにホームに停まっていた列車内にはびっくりするほどインド人が寝ていた。
 
 これがゼネラルの恐ろしい所で、切符を持って発車時刻20分前に行ったとしても、時間が有り余ってるインド人はおもくそ早くから自分の席を確保してしまうので、俺ら旅行者が気軽に席取っぴなんて出来るはずがないのである。
 
 この時も自分の席を確保しつつ、寝る席もキープという贅沢な方法をなんとか勝ち得ることが出来たのは出発時刻の4時間前に駅にいたからに他ならない。

 もし宿なんかに悠々と泊まってて、3時頃に切符買ってホームで待ってて、さて乗車!なんて余裕は無かったのだ。
 
 いや、でもラッキーだね!

 席も確保出来て、仮に寝坊してもそのまま列車は走ってくれる訳だし。 
 
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               こいつらいったいいつから乗車してたんだろうか・・・・


 そんなカルカー・シムラー登山鉄道。

 当然の事ながら外はまだ真っ暗で、車窓からの景色なんてあったもんじゃなかったです。
 
 丸一日の長いバス移動のあと、すぐに駅来て切符とってと割りと大変だった上に3時間くらいしか寝てないのです。
 
 乗車時間の約半分の時間は睡眠時間となっており、あまり記憶に残るような素敵な思い出は… 残念ながらありませんでした。 

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               山の麓の町・カルカーから いざ、出発ーーー!!
 

 ディーゼル車ががんばって8両編成を引っ張って山を登っていく。

 とにかく、カーブがやたらと多い。

 トンネルもやたらと多い。

 そのトンネルの一つは1148mもある長いトンネル。

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                駅からすぐトンネルとか!


 世界遺産の暫定リストに載ってるだけなのに、もう世界遺産気分で各駅に必ずユニセフ印の説明が書いてある碑が設置してある。
 
 速度は今まで一番早いかも。

 日本の私鉄の急行列車が各駅しか停まらない駅を通過していく時くらいの速度。

 馬力もあるからアップダウンの速度の違いも無い。 

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                インドの車窓から  速くてとても感心した
 
 とにかく山の中。

 当然、上がるたびに寒くなり、そして天気も良い方ではなく、雲の中に突入する感じで霧雨の中を走り、時折雲海が下方に見えたり、太陽が顔を出したり、一瞬青空が垣間見れたりと、そりゃもう山の天気は変わり易いといったそのままの天候。

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                標高がぐんぐんあがるのが登山鉄道の醍醐味
 
 
 気がつくと山の斜面に町があったりはするが、これまでに見た事のある景色ばかりで目を見張るよりも瞼が下がる事の方が多かった。
 
 もう登山鉄道、お腹一杯だったな。

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                たまに明るくなるが 基本的にこの日は曇りより

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               山の中の駅は霧ぎみで小雨
 
 
 そしてシムラー駅到着。

 標高2206m。

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                ディーゼル君 おつかれさまでした
 
 
 30分バックパックを背負ったまま宿探しで歩いても、汗ひとつかかない気持ちの良い気候です。

 眺めもよく道を歩いてても見晴らしがいいところばかりです。
 
 坂道が多いから息切れはしますが、ゆっくり歩く速度もまた気持ちがいいのです。

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              斜面に町が形成されている インド避暑地のひとつの特徴

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               歩いての町移動は肺活量を試される所業 
 

 イギリスが支配してた頃の夏の首都・シムラー。

 避暑地として有名なこの地は、まさにその通りな雰囲気でした。

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               メイン広場は観光客でいっぱい

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               世界中から訪れている。  はず・・・・

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                 メインだけは なんでも揃っている  まさに観光スポット

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               油断するとボロが目立つのがインドの良いところですなぁ


 ホテルの従業員とか俺にまで「サー」を必ずつけます。
 
 部屋からの窓越しの夕陽はとてもきれいで見惚れてしまう程でした。
 
 そんなシムラーですが、わずか一泊でもう後にします。

 少し心残りのほうがまた来たくなるものですから。 

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                ずーと、眺めていたい避暑地の夕焼けオレンジ景色

 

 それでは今夜、早速夜行バスで旅立ちます。

 次こそようやく、北方山岳方面のメイン目的地・マナリーに辿り着けるようです。
 
 
                                            From Naokys!


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          今週もおもしろかったわね~、奥様! まったくあと1週間も待ちきれないわぁ
 
 

 ※2009年5月20日から2009年10月22日までの五カ月間にわたった抱腹絶倒な大天竺一周の旅、あの名作【 インド道 】シリーズがリメイクされ、ナオキーズ!旅ブログ 『 ぶらっと、旅る。 』にて蘇る。



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