「 源流顛末記 ~表~ 」 2009年9月16日~9月19日



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               ウッタルカシ行きのバスからずーーーっと眺めてた…


 9月16日(水) ~第一日目


 12時半、とりあえず目的地ガンガーの源流への起点の村・ガンゴートーリーへのダイレクトバスは無く、乗り換え地であるウッタルカシ行きのバスに乗り込む。
 
 喉風邪を患ったようで鼻詰まりと喉のイガイガが気になる。

 座席に座り出発まで1時間ほど待つ間、暑くて身体がじんわりと汗ばみ、それが冷えて冷たくもなり、体調は完全に不調だ。

 待つこと1時間、ようやくバスは出発だ。

 リシュケシュの市街地は砂埃と排気ガスでかなり空気が悪く、喉を直撃して症状が悪くなりそう。

 すぐに山道に入りぐんぐん登って行くが、道もかなり整備されてて眺める景色も良い。

 川沿いに沿っての行程だが、まだガンガーは現れていない。


 2時間半経過。

 昼食休憩の後、ガンガーが谷間に現れる。

 どこまでも山と谷とのV字を眺め、バスはぐんぐんと進む。

 持参したマスクをしてるせいか息がしづらい。

 高山病に対して一番駄目な気がする。

 そう、俺は2000mくらいから高山病の症状が現れるヘタレ体質なのだ。

 だが、バスはまだ標高を上げない。

 一つ一つの山を登っては降り、登っては降りの繰り返しで先へ進む。

 その山々には畑や棚田が広がり、山地に暮らす人間の多さに驚かされる。

 道幅も広く、車のすれ違いも容易なので快適かも。

 そうは言っても、ネパールのように片側崖で片側谷だ。

 そしてパキスタンのカラコルムハイウェイのように至る所に土砂崩れの痕あり。


 5時間経過。

 それまでとは少し景観が変わり、谷間のガンガーが湖のような大きさになる。

 その両岸に田んぼが広がりどこまでも続く。

 山と谷の標高差が見るも激しくなっている。

 その山腹を車道が走っている。


 7時間経過。

 やっとウッタルカシという目的地までの約半分の地点の町に到着。

 夜になったがバス停近場に宿を取り、宿泊。


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                やっとたどり着いた 途中の乗り換え町ウッタルカシの宿前


 9月17日(木) ~第二日目


 朝、7時にガンゴートリー行きのバスに乗り込む。

 一応、国道にはなっているがここから先は悪路だ。

 道幅は車1台分、舗装されていない山道もあり、バスは揺れに揺れる。

 岩山が多くなり、切り立つ崖ばかりになる。

 かなり下方の谷底をガンガーは流れている。

 だいぶ山の急流とういう雰囲気になってきた。

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               山間のガンジス まだ子供のようだ

 2時間半経過。

 砂埃と排気ガスが喉を痛めつける。

 鼻詰まりが涙目を誘う。

 道も悪く体調も思わしくないのでバスが辛い。

 しかし、外の景色は次第にヒマラヤへ近づいているのが分かる絶景。

 体は不調でもこの景色の中に自分がいると思うと胸が高鳴る。

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                 途中の休憩スポット チャイが全ての活力源

 3時間経過。

 V字の山間の向こうに、白雪を抱くヒマラヤ山系が青空を背景に白く輝く。

 なんたる絶景。

 標高が上がった為、乾燥してきているのか詰まってたはずの鼻水が消える。

 ガードがなくなった鼻と喉を砂埃が直撃する。

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                永久に解けない雪山が目の前に

 4時間経過。

 いつの間にか眠っていたようだ。

 酸素不足のせいで眠ってしまったのだろう。

 起きると山はヒマラヤ杉の森となっていて、ガンゴートーリーももうすぐだ。

 残り10km、一気に山を駆け上がる。

 両手の指先が痺れ始めてきた。

 とうとう高山病の症状が現れてしまった。

 意識する間もなく鼓動は早まり呼吸回数も増えている。

 それが更なる喉の乾燥を呼び、水が手放せない。

 頭痛も伴い3000mを越えた事を認識した。

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                ガンゴートーリー寺院 もうふらふらだった…

 5時間経過。

 ガンゴートーリー到着。

 標高3048m。

 俺、ひどい頭痛と歩くたびにめまい。

 高山病は重度ならすぐに下山するか、軽度なら順応するまで安静にしていないと危ないが、明るい部屋を確保したのですぐさま横になりベッドに倒れこんだ。

 夕方、何か食べなくてはと起きだすが体の自由が利かない。

 頭痛は止まらず、つらい。

 それでも飯を喰い、ガンガーを拝みに川へ向かう。

 すぐ脇のガンゴートリー寺院も参拝してすぐ宿に戻る。

 激しい頭痛に時間の長さを呪いながら、ただひたすら痛み、苦しみに耐え続ける。

 おまけに水下痢にもなる。



 9月18日(金) ~第三日目


 昨日の夕方から2時間毎に目が覚めては頭痛に際悩まされ、また無理矢理眠るの繰り返しでようやく朝を迎える。

 頭痛を遠くに感じる。

 だいぶ体が慣れてきたのか。

 しかしもう下山する決心だ。

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               流れはだいぶ速く 水は氷のように冷たい

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                穏やかなガンガーとは打って変わって激しい始まり


 ガンガーの源流に会えるゴームクへは18kmのトレッキングをしなきゃならない。

 行程は早くて一日、ゆっくり登って一泊二日。

 氷河から流れ出るその源流は標高3892m地点。

 俺、高山病。

 何よりも、俺、サンダル・・・・

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                この先にゴームクがあるのだが 俺もうギブ

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               ロバが重労働を担っている 俺を乗せてくれないか

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               ガンゴートーリーの町並み ヒマラヤ杉しか生えてない


 帰りのバス・乗り合いタクシーのメドが立たない。

 誰に聞いても要領を得ない。

 2時間探して2時間待って、ようやくバスに乗り込む。

 が、バス内で2時間待ち。

 今日中に下山出来るのだろうか。

 体調は酷い。

 高山病に加え風邪の初期症状が悪化してきてる。

 朝の8時からバスを探して結局バスは14時半に出発した。

 30分ほど走っただろうか、標高も300mくらいは下がったのだろうか。

 当然だが、あれほどの頭痛がぴたりと消えた。

 酸素、復活。


 高山病と言う名の病の不思議・・・・


 バスはものすごい混み具合。

 一番前のシートに座ってるにも係らずエコノミー症候群になりそうだ。

 窮屈で揺れる最悪なバス。

 風邪がさらに精神に追い打ちをかける。

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               標高が下がって 洗濯女子を盗撮する余裕も生まれた

 3時間経過。

 かなり標高が下がったと見える。

 ずっと乾燥し放しだった鼻水が復活し涙目に。

 それと同時に蓄膿気味の偏頭痛に襲われる。

 辛いだけのこのバスの唯一の救いは車窓からの外の絶景だ。

 ふとした時にこの外界を目にすると不思議に全身の不快感が一瞬だが消えてくれる。

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              斜面に水田 山しかない土地の知恵 棚田

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               どこまでもこんな景色 緑がみずみずしい


 6時間経過。

 また夜になりウッタルカシ到着。

 標高1188m。

 今夜はここにて一泊だ。

 恐ろしく体調が復活した。


 9月19日(土) ~第四日目


 朝6時半出発のリシュケシュ行きのバスに乗り込む。

 目下のところ鼻詰まりだけが最大の敵だったが、何故か勝手に咳がしこたま出る。


 1時間経過。

 きっちり整備された国道に出る。

 崖あり谷あり滝あり土砂崩れありだが、道が広くて良いと言うだけで快適だ。


 2時間半経過。

 あの湖のような母なる大河・ガンガーと再会。

 時間の流れの遅さも気にならない。

 気持ちに余裕ができ、バスの座席にも余裕があるからかも。

 相変わらすの砂埃・排気ガスで空気は悪いが、景色がそれをカバーしてくれる。

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                支流がいくつも集まって 気が付くとこんな大きく育っちまって…


 7時間経過。

 リシュケシュのバススタンド到着。

 この砂埃と排気ガスの空気の悪さはいったいなんなのだろうか?

 カトマンズよりも東京よりも空気が吸えない。

 喉風邪は悪化し咳風邪になる。

 結局源流には辿り着けず、自分の体の弱さを思い知っただけのツライツライ旅路だった。


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               やっと着いた下界は リシュケシでさえ俗界に見えた

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                これで刺青が彫れる インドの偉大さ

                                             From Naokys!


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               アタマ隠さずシリ隠さず  早く来週も読みたいモォ  


 
 ※2009年5月20日から2009年10月22日までの五カ月間にわたった抱腹絶倒な大天竺一周の旅、あの名作【 インド道 】シリーズがリメイクされ、ナオキーズ!旅ブログ 『 ぶらっと、旅る。 』にて蘇る。



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