「 絶品絶景アラカルト 」  2009年8月31日~9月1日


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            チャイとサモサと男と女 芋の様な食感の米とベビースターもどきがけ


  ~マンドゥ インド中部・マディヤ・プラデーシュ州~


 ナルマダ平野の傍らに聳えるヴィンディヤ山脈が、平野に落ち込んでいく切り立つ崖の上に存在する、なんとものどかな村がマンドゥ。

 かつて、イスラム教国であったマルワ王国が築き上げた夏の避暑地的城砦都市。

 今ではその史跡の傍らで簡素な村が機能停止した城壁の中で同居しているのだ。

 
 長い年月による自然の侵食で木々に飲み込まれたレンガの遺跡が青い空の下、黙然と佇んでいる。

 この先何も変わらないようなゆっくりとした時がこの土地を覆っているかのように。


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               翼竜が飛んでそうな壮大な景色

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                       朽ち果て 浸食され 観光化


 船の宮殿と呼ばれるハーレムはその内装がユニークであり、遊び心が建築に取り入られており、

 「 ここで女達を侍らせていたのか、しかしここなら女達も楽しく暮らせそうだ 」 

 と思わせるお洒落な造り。

 お風呂場や噴水、水路に景観と、現代の感覚からしてみても洒落たセンスがあり、心に余裕があるものと伺えるのだ。

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               ハーレム それは野郎どもの果てなき夢のかたち

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              プールのような風呂場へと続くお洒落水道

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                だが、現代のあとづけはセンスのかけらもなし…

 一番大きなモスクに隣接するホーシャン廟は、大理石で建造された女王のお墓で、あの世界遺産タージ・マハルのモデルとなった廟そうだ。

 これでアーグラーのタージ・マハル、アウランガーバードのタージ・マハルをモデルにしたビービー・カ・マクバラー、そしてここマンドゥのホーシャン廟と、3つの異なるタージ・マハルを見たことになるが、別段そんなに好きではない。


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               とりあえず つかんで持ち上げ タージ・マハール芸



 崖上に立つ離宮や小宮殿の遺跡からは遥か彼方、下方へと滑り降りていく大地の景色が眺められる。

 その斜面の先には霞みながらも大平野が広がり雄大な地平線を形成しているのだ。

 緑に覆われた豊かな大地、巨大な白き雲が真っ青な空を彩り、風は穏やかで鳥の鳴き声とヤギや牛が草を食む音しか自分には届いてこない。

 とても贅沢な気分を味わう事が出来た。


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                夕景の眺めも グッとくる マンドゥ村のとある場所


 知り合いになったインド人が鶏をご馳走してくれた。

 真っ白なブロイラーではなく、その辺りを気ままに走り回っている活発な雄鶏。

 その羽色は茶色や黒、赤の混じったカラフルでとても立派な雄鶏だ。

 インドに来てすでに4ヶ月目に入っているが、いままでで一番辛く、そして一番美味なチキンカレーだった。

 その肉を口にした途端、骨からお肉がするりと剥がれ落ち、しっかりとした歯ごたえ、プリッとした弾力を噛み締めたなと思った矢先、舌の上に辿り着くころにはトロけている魔法のような柔らかさなのである。

 大きな中華鍋で煮込んでいるだけなのに圧力鍋を使ったのかのようだ。

 そして口の中や唇の周りまで感覚が麻痺するほど激辛でもあった。




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               こいつらとニワトリカレーを喰った 御馳走様でした



  ~ボージプール・ビームベートカー マディヤ・プラデーシュ州州都・ボーパール近郊~


 この2ヶ所はそれぞれボーパールという街から、28km(ボージプール)、46km(ビームベートカ)しか離れていないのだが、交通のアクセスがすこぶる悪く、気軽に出掛けるつもりだったのが思いのほか難航した。

 これぞ北インド!と思わす交通の不便さで、仏教八大聖地を巡礼していた時を思い出した程だった。



 ボージプールへはバスで国道を17km進み、分岐点となる小さな町から乗り合いトラクター型タクシーで向かう事になるのだが、そのトラクターが乗車率150%にならないと出発せず、一番最初に乗り込んだ為に40分程待たされることに。

 排気ガスが全て車内(と言っても幌が付いているだけなのでオープン)に入ってくる不思議な仕組みで走る、速度もとても遅いが車窓は水田やとうもろこし畑が一面に広がる田園風景。

 緑の青々とした草の匂いが蔓延しており、そよぐ風に乗ってそれはどこまでも届いていく。


 ボージシュワル・テンプルを観に行ったのだった。

 そこは寺院と言うよりかは、エジプトの神殿を思わせた。

 壮麗でいて威厳のある巨柱に支えられた箱型の建物の中に、これまた巨大なヨニ(女性器を模したヒンドゥー教のポピュラーアイテム)とその上に鎮座する巨大なリンガ(男性器を模したシヴァ神の象徴)が祀られている。

 その大きさは三段重ねのヨニだけで高さ4m近くあり、リンガを含めると6、7mは超す圧倒的な高さを誇っていた。

 これほどまでに大きなリンガは見たことが無く、またこのあまり知られていないボージプールの地にこれほどの物があると言う事実にも驚きを隠せなかった。


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                人間と比較すると 大きさが圧倒  


 ビームベートカへは先の国道まで戻るのだが、あの乗り合いトラクター型タクシーはまたもや人が乗っていないので待つのはもう嫌だと、そのまま歩き出し若者の乗るバイクをヒッチハイクして、バイクに3人乗りで国道まで送ってもらった。

 そこからバスに乗り込むが、そのバスはビームベートカ手前6kmの町までしか行かないのである。

 タクシー代わりに人を乗せていたトラックのキャビンの上部に乗る事が出来たので、なんとか6km先の遺跡の入り口まで連れて行って貰えたのである。


 国道から遺跡までは1本の道が小高い山の上まで続いており、それが上り坂を約3km。

 しかし上り坂だからなのか、体力が無いからなのか、どうみても4kmは歩いてるのでは?と思うくらいに疲労困憊した。

 ここには新石器時代から紀元前後までの岩絵が施されている岩盤がいくつもあるのだ。

 長年の風による侵食で、奇妙で不可思議な形に変化した巨大な岩々が当時の人々を雨風から守る絶好の住処となっていた場所なのである。

 そしてそこには動物や戦闘、狩り、踊りといった様々な時代の岩絵が反映されて描かれているのであった。

 見たいとは思っていたがようやく初めて岩絵という物を目にする事が出来た。

 アフリカやオーストラリアによくある宇宙人的な岩絵が好きで、そういうものはないか?と探したらあった。

 でも宗教的なものと指摘されれば全くその通りで、もしかしたら他所のスペーシーな絵も儀式的な要素を描いたのかも知れなかった。


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                戦か狩りか はたまた遠足か

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                宇宙大戦争 スペーシーな絵柄は画家のイマジネーション力

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                ロボとか登場で 岩絵ムネアツ


 国道までの下り坂、夕方で涼しくなったからなのか、気持ちに余裕が出てきて周りの綺麗な景色に気が付いた。

 緩やかな丘陵が平地に向かって波打っている。

 それはそれは見事な情景の中を歩いているのであった。

 春のごとき小さな白い花が咲き、小鳥がさえずり幾羽もの蝶がひらひらと飛び交い、初夏の牧場のような緑の草原が丘を埋め、晴天の青に圧倒的な積乱雲が何よりも巨大に控えている。

 その懐には灰色の命の水を満々と蓄えているのさえ伺える。

 夕刻も近く、涼やかな風に追われて頭上をトンボの群れが乱舞する。

 時折り高く頭上を旋回しているのは隼の仲間だろうか。

 気が付くと、春夏秋の季節を一辺に味わっていたのであった。

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                どこまでも広い 季節感丸出しのインドの大地

  ~サーンチ、ヴィディシャー インド大陸ど真ん中・中心~


 仏教遺跡である。

 世界遺産である。

 紀元前2世紀頃に建造されたサーンチである。

 仏陀が死んで300年、当時の覇王アショカ王がこの地に築いた3つのストゥーパがある。

 ストゥーパとは仏舎利(釈迦の骨)を保管するために作られた半球型の仏塔だ。

 ここサーンチの遺跡自体はそれほど訪れる価値は無いと思われる。

 世界遺産が好きな人か、仏跡巡りが趣味な人でもないかぎり感動したりするものは無い。

 ただひとつだけ第一塔の四方にある鳥居型の4つの塔門の彫刻だけは見る価値がある。

 むしろ、この塔門がなかったら何を求めて自分がここまでやって来たのか、自問自答してしまうところであった。

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                みんな大好き 割れめちゃん(屮゚Д゚)屮 カモーン

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              一部では日本の神社の元祖では?と囁かれている


 サーンチの先10kmの所にはヴィディシャーという町があり、その近郊にヘリオドロスの柱というなんともインド的でない響きを持つ柱がある。

 見ないでか。

 向かった先は、子供もあまり遊びたがらないような暗くて小さな公園で、そこに1本の柱がまさしく名前負けという言葉がぴったりなくらい細く、短く伸びていた。

 陽が当たらなく弱々しく成長した樹木のようなそれを眺め、心の底からガッカリした。


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               苦労してまで観に来るほどではない ヘリオドロスだった


 ヴィディシャーの町中には、紀元前2世紀に建造されたブラフマー寺院があると言う。

 貧祖だが、明るく楽しげな雰囲気の住宅地に囲まれるようにしてその遺跡は保管されていた。

 ビィージャマンダル、と現地の人の間ではそう呼ばれている。

 インドに限らず世界の歴史のなかではよくある話で、このブラフマー寺院も後のイスラム帝国の手によってモスクに改造されていた。

 もしや紀元前のブラフマー神のご本尊様が見られるのでは?と期待もしていたが、やはりそれは叶うことがなく、外観はヒンドゥー寺院、内装はイスラム・モスク、と混在した遺跡をただ眺めるしかなかったのである。


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               もはや驚くほど歴史を感じさせない過去の遺物



  ~~セントラル・インディア マディヤ・プラデーシュ州の旅~~


   美味しく頂きました。。。



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     よぉ~し! 来週の「ぶらっと、旅る。 インド道24th」は俺らの街だぜ!夜・露・四・苦!    


                                         From Naokys!




※2009年5月20日から2009年10月22日までの五カ月間にわたった抱腹絶倒な大天竺一周の旅、あの名作【 インド道 】シリーズがリメイクされ、ナオキーズ!旅ブログ 『 ぶらっと、旅る。 』にて蘇る。


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