「 デカンの割れ目で石窟三昧 」 2009年8月24日~29日
岩崖の側面をくり抜く石窟寺院の有り様 コレ全部手作り
エローラ、アジャンターというインド中部にある遺跡をご存知だろうか。
世界遺産に登録され、岩山崖をくり抜いた石窟寺院群がある場所だ。
その基点となる街・アウランガーバードに今、俺はいる。
石窟寺院と言っても何もこの2ヶ所だけでなくインド中にいくつもあるし、他の国にだってある。
ただこの2ヶ所は、世界遺産に値する価値と、保存状態と、規模と、歴史がある。
俺は好奇心とコンプリート魂と几帳面なA型の性格により、エローラ、アジャンターの石窟寺院を一つも残さずに見たい。
さらにココ以外の、周辺地域にある石窟寺院群も見たい。
この街にはアウランガーバード・ケーブがあり、70km程離れた渓谷にはピタルコラ・ケ-ブがある。
まだ他にもいくつかあるのだが、情報不足と時間的に無理という事なんで泣く泣くいくつかは諦める事にした。
が、とにかくその4ヶ所の石窟寺院群を完全制覇してやった。
「 アウランガーバード・ケーブ 」は全部で13窟の仏教寺院群があり、東西に半分づつ分かれてる。
それはそれは初のインド石窟寺院に感動もひとしおだ。
いままでに見た事のない仏像の型、仏陀が椅子に腰掛けたように座り印を結んでいる仏像が主流である。
仏像の髪型が天然パーマなガンダーラ仏(パキスタンにある)を初めて目にした時のような衝撃を受けた。
入り口 ここから石階段を昇り崖の中腹を目指せ!
奥に鎮座するは ひと休み仏陀
インドの石レディ達はいつだって悩ましい
「 エローラ・ケーブ 」は全部で30窟。
ここは1窟~12窟までが仏教遺跡、13窟~29窟までがヒンドゥー教遺跡、30窟~34窟までがジャイナ教遺跡、と各宗教が横並びになって彫られている珍しい形。
同時期に彫られた石窟などはお互い競ってたのか、それともたまには手を貸したりしていたのだろうか。
なんとも想像するに楽しい時間を送る。
エローラ・ケーブに至っては観光に行った日の午後から雨が降りはじめ、雨宿りするも一向に雨がやむ気配もない。
少し小雨になってきたのを見計らって続きを見に行くが、丘状の崖になっているこの遺跡群、雨が怒涛の河となりそこら一面に流れ下っていた。
それでも先に進んでは見るが、途中に控えた滝の裏側を通る道のその滝は、チャイ色をした濁流滝となり、100m離れてても水飛沫でびしょ濡れになるという圧倒的な水量で、通る者を寄せ付けない凄まじさ。
断念せざるを得ず、翌日にもう一度リベンジで訪れた・・・・
鬼のような勢いで濁流が流れ落ちてた・・・・
とてもじゃないがこの滝の裏は通る気になれんかったよ
次の日は打って変わって 普通の滝に もう余裕余裕
ここの仏教遺跡ナンバー1はなんと言っても第10窟だ。
ここはチャイティヤ窟というストゥーパを祀った堂が彫られていて、秀逸なのはその窟内の音響効果。
声を出すと中で音の波紋が広がりどこまでも反響する仕掛けが施されているのだ。
そんな窟内でマントラを唱えると土下座したくなる程厳粛かつ凄然と響き、いつまでもその場から離れたくなくなる想いだ。
個人的にこの石窟寺院が100個近く見た中で、断トツに良かった。 ここは大好きだ。
この中でアニソンカラオケを熱唱したい
ヒンドゥー遺跡のナンバー1は、16窟のカイラーサナータ寺院。
・・・・俺は今でも信じられん。
この果てしない大きさの石の寺院が、全て岩山をノミで削って人が創り上げた彫刻だと言う事を。
その大きさは、高さ30m幅33m奥行き50mの石窟寺院。
俺はいくつものヒンドゥー寺院をこの大天竺で見てきた男だ。
もう、ちょっとした寺院なんかじゃ驚きゃしない。
だが、このカイラーサナータ寺院だけは驚きを超え、猜疑心にさい悩まされた。
細かく周りの回廊や寺院の壁、内部のどれを見ても確実に岩を削って創り上げているのだが、下から、上から、上階から、と全体像を眺めるとどうしても疑ってしまうのだ。
これを、人間が、ノミで、時間かけて、彫った。
という事実を。
これは今でも信じられん。
三方は岩崖 掘り抜いたインド人の奇跡の証拠
インドあるあるな崖は柵なんか無い どこまでも崖っぷちに寄れるのだが当然落ちたら死ぬ
ジャイナ遺跡はもう普通だった。
すごいの見過ぎてもうどれ見ても普通だった。
得意げに薄ら笑いが物悲しい 石なのに・・・・
ただ、このジャイナ遺跡の上を歩いてると獣道のような丘の上を歩く道がありその道を辿って行った。
上からは渓谷の壮大な景色が眼下に見えとても美しい。
どこまで続くのかは分からなかったが、どんどん先へと歩いていると谷間が見えてきた。
そこは前日濁流滝だった上流の川で、その傍らにいくつものヒンドゥー教石窟寺院がUの字に並んで彫られている。
一応、整備らしき事はされてはいるものの、まだ番号なども付いていない遺跡であり、シヴァ三面リンガや朽ち果てたガネーシャなどがひっそりと窟内に鎮座していた。
あの滝の上はこんなトコだった 奥に石窟群が
何故にチ〇ポがっ!? と思ったら鳥の巣だったよ
そこを過ぎるとまばらに観光客と出会い始め、人の気配が色濃くなってきた。
その先に岩山を彫り抜いた巨大な空間が広がり、その中心には、あのカイラーサナータ寺院が待っていた。
崖の上から、四方から見下ろす寺院を見ていると、またどうしてもこれを人が掘り抜いたとは思えなくなってくる。
本当は彫刻を施した数々の石をあとから組上げて造ったただの寺院なのではないか?と。
どうやってこんな壮麗な、内も外も完璧な巨大彫刻を人間が創り出す事が出来様か・・・・
ぎりぎりまで寄って 上からパチリだがケツの穴がキュッ!
「 アジャンター・ケーブ 」は全部で30窟の仏教石窟寺院。
ここは彫刻というよりも、壁画にその真意が詰まっている。
確かにここまで石窟寺院を見ていると、もう彫刻や仏像にそこまで興味を持ってかれることもないが、壁画の保存状態やその色彩がすこぶる良く絵師の心意気が伝わってくる。
が、保存の為だろうかあまりに暗い内部。
デジカメも手ぶれまくりで少々不満だ。
そしてこの渓谷も圧巻の景色だったのだが、崖上や展望台まで登る体力気力がなくなってしまった。
いやマジ疲れた。
アジャンター全貌 入っては出て入っては出て けっこう歩いた
昔の人の絵が残ってることにふつうに感動
ドラヴィダ系の褐色仏陀に土地柄を感じるの~
スマホで悟りをググる 未来を予見していたブッダ像
「 ピタルコラ・ケーブ 」は全部で13窟の仏教石窟寺院群。
国立公園の谷間にあり、そこまで下りて行く階段は整備されてはいるものの、遺跡自体には番号も何もなく、ほとんど潰れかけていた。
入り口や門戸は崩れてなくなり、僧院は外に露出している。
ストゥーパは半壊し、寺院も剥き出しになっている。
一応崩れないように支えや新しい石柱で組んではいるがどれも見るものはない。
石器時代っぽさ満載 だが中身は仏陀がいっぱい
その分、秘境感は満載なのだ。
まさに発見された当初はこんなふうに見つかったのでは?と思わせる雰囲気に酔いしれる事が出来る。
遺跡ックスには堪らないロマンスをくれる石窟寺院群だな、ここは。
特に、何の期待もせずに入ったチャイティヤ窟の柱や壁に、くっきりと残っていたたくさんの仏の壁画を目にした時は興奮したものだ。
こんなの見つけたらナオキーズ!参上とか書いちゃ・・・・ ダメ!
インドでの石窟遺跡はもう充分堪能した。
思い残す事もないほどに。
アウランガーバードでは、タージマハールをモデルにしたというビービー・カ・マクバラーという廟や、博物館なども観に行った。
第二のタージマハールをつまむ芸 定番
しかしこの街に着いた初日にまず勇んで出かけた先は・・・・
宿の目の前に仮設された大テント・・・・
そう。
ムーンライト・サーカスなのさっ!!!
またかっ!! のサーカス狂い
この街にもサーカス団が来ていた。
俺は初日からウキウキしていたのだ。
チープかつエキセントリックな電飾に心ウキウキ・ウォッチ・・・・ もういいやな、タモさん…
夜の部7時からの公演を観に行くが、初夜の部だ。
突然またもや空中ブランコから始まったが、途中会場内の電気を消し、真っ暗闇の中で空中ブランコをやるという白熱っぷり。
この暗闇芸は、丸い鉄檻の中をバイク2,3台で走る芸の時もやった。
これには手に汗握ったが、暗すぎて爆音が轟く以外何も見えず状況がよく分からなかった。
そしてこのサーカス団の素晴らしいところはなんと、成功率90%という快挙を成し遂げたことだろう。
どこで、いつ失敗するのかと思って観ていたが、そんな事すら忘れさせるほどの完璧さ。
途中の犬芸がまったくの大失敗の連続で、拍手する気が全く失せたが。
動物使いとワンちゃん達が全然心が通じ合ってなく、どこまでもフリーダムな犬達だった。
そこから失敗の流れがいくつか派生したが、気になるほどではない。
やはりインド・サーカス見物が3回目ともなると他と比較してしまう。
演目の流れは同じで、芸も似たようなものばかりだからだ。
いくら失敗率が低くとも、演技者の表情や技術的なもの、各人の器量などを比べ、
「 あぁ、こいつのこの技術ならあのサーカスのあいつのがうまかったな。」
とか
「 こっちはこうきたかぁ、でもあいつがやってたあの馬の乗り方には適わないな。」
とか
「 うぉー! この団、ジープで飛ぶの!? こりゃ迫力だわい。」
などといったとこだ。
それにしてもなんて楽しいのだろうか、このサーカスって見世物は。
またどこかで会える気がすること請け合いだ。
アウランガーバードの街には随分と長居してしまった。
今後またしばらくは移動のペースを上げなければ。
まだまだ、俺のインド1周は終わっちゃいないのだから。
「毎週」、「木曜日」、「ぶらっと、」、「旅る。」、「ピーーース」、「インド道」、「お楽しみに」
From Naokys!
※2009年5月20日から2009年10月22日までの五カ月間にわたった抱腹絶倒な大天竺一周の旅、あの名作【 インド道 】シリーズがリメイクされ、ナオキーズ!旅ブログ 『 ぶらっと、旅る。 』にて蘇る。
毎週木曜日配信中!!! 一遍たりとも見逃すな。
おもしろかったら ポチッとな
↓ ↓ ↓
放浪記 ブログランキングへ
にほんブログ村