「 バックウォーター・ブルース 」~ケララ三部作②~ 2009年7月30日


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               インド本場のジャングルクルーズ半日の旅


 インド大陸の南、西海岸に長く延びるケララ州。

 その沿岸部の多くは水郷地帯である。

 そこにコーラムという小さな町がある。

 そこからこれまた小さなアレッピーという町までの87kmの道程を、私はボートで無数に延びる運河を一路北上し、ゆったりと進むことにしたのである。

 ヤシの木に覆われた水郷地帯を8時間かけてゆく、時速10kmののんびりとした船旅だ。

 このバックウォーター・クルーズは観光客に人気の行程であり、とてもメジャーなのだが、当時は雨季でオフシーズンの真っ最中、果たしてボートは大丈夫なのであろうかと不安もあった。

 1日中雨が降り続いたり、大波で終始揺れっ放しは楽しくもなんともないからだ。


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                このサファリ丸で ゆったり水郷地帯を進む


 そんな不安も当日の朝、コーラムの船着場に着いた時には全くなくなっていた。

 曇ってはいたがクルーズのコンディションは良好のようだからだ。

 ボートはある程度の大きさがあり1階船室が座席、2階はオープンエアでイスが並べられていた。

 操舵手・船員の他に、西洋人ツーリストが6人、私を含めた日本人2人の計10名が乗船している。

 その乗船人数の少なさのため、ほぼ貸し切りの感が強く広々として快適である。


 船上で私は久しぶりに日本人と出会った。

 そして彼、sky氏も久しぶりに日本人と遭遇した言う。

 それが奇遇にも2人共プリーのサンタナ・ロッジを出て以来のことだった。

 今は雨季と言うだけで南インドの旅を倦厭しがちだが、実際旅をしているとこれ程良い時期もないのではないかと逆に思うのである。

 気温は30度を超えているだろうが、カラッとしていて湿気がなく爽快な日々が続き、雲も多く頭上にかかり直射日光に焼かれる心配もない。

 雨は降っても軽いスコールが朝晩だけだ。

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                 たまに晴れ間が広がるとこんな感じ

 その日の天候はほぼ曇りであった。

 ゆっくりと進むボートは何ともゆるいものである。

 周りの景色もこのくらいのゆるい速度で見れば、歩いて散策しているのと何も違わない風景が目に映る。

 ヤシの木のジャングルが圧倒的な緑をもってして生命力を放ち、河の流れは緩やかで行き交う船の波紋が幾重もの音を奏でているようだ。


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               こいつは超高級AC付きトイレ完備のハウス・ボート


 これまでも、船に乗って水上生活者や水上家屋をアジアの方々で目にしてきたが、ケララの水郷地帯は様相が違った。

 岸辺にレンガ造りのカラフルに色付けされたカワイイ家が建ち並び、花壇には名も知らぬ南国の花が咲き、水の上の住民も比較的裕福そうだった。

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                 生ジャングルのクルーズにワニやらなんやらはいない

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                 もう舟としての機能を存分に使い過ぎ・・・・   


 途中途中にケララ独特の漁法、「 チャイニーズ・フィッシング・ネット 」と呼ばれる大きな木製の仕掛け網が水上にせり出していたりもする。

 ケララ州にはキリスト教徒も多く住んでおり、あちらこちらに教会を見る事ができキリスト教系の学校も数多く見かけた。

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                 中国から伝わったという チャイニーズ・フィッシング・ネット

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                中国ネット群 こいつらで魚も一網打尽  

 ボートはランチタイムで一度着岸し、岸辺の村の食堂で南インドの定番ランチ・ミールスを頂いた。

 「ミールス」というのはバナナの葉の上に、日本米より数倍の大きさがある米粒のライスが山のように乗せられ、2~3種類のカレー、アチャールという漬物、ヨーグルトなどが乗せられている給食のようなもので、米もカレーも全ておかわり自由なのだ。

 ケララの食堂は昼時になるとメニューがどこもこの「ミールス」ばかりになる。 「ランチ」=「ミールス」という訳だ。

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                ミールスとはこんなお食事 米粒がデカい

 もちろん美味しく頂いた。

 ここに限らずケララ州の食事が抜群に美味しい。

 文字が変わり言語が変わるように、食の味も州により微妙に変化するのだ。

 南インドの中でも一番美味しいのではないだろうか。

 と言う事はだ、インド大陸の中で一番美味しいという事に他ならないのだ。

 食べ物の話が続くが、今はバナナが旬である。

 店先に吊り下げられていたり、店頭に並べられているのを見て驚いた。

 バナナにこんなにも種類があったのかと・・・・

 太いのやら赤いのやら青いのやら小さいのやら。 数種類ものバナナがこの世には存在していた。

 バナナなど3種類くらいしかないと思っていたので、新鮮な驚きを得たのだ。

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                例えばこんな 実りすぎモンキーちゃん


 さてボートは夕刻に近づくにつれ、目的地であるアレッピーにも近づいてきた。

 夕焼け空が水辺のジャングルの上空を覆う頃、我らがバックウォーター・クルーズのボートは川沿いの船着場に着岸となる。


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               陽も暮れりゃ 船旅も潮時   


 何故か下船時になると雨がしとしと降りだしてきた。

 幸運なのか不運なのかよく分からない有様であったが、バックウォーター・クルーズの船旅は濡れずに済んだ。

 旅神様の恩恵であろう。


           ケララ三部作②「バックウォーター・ブルース」 fin


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                  次週の、木曜日まで 乗ってくかい?
 

                                                                          From Naokys!



※2009年5月20日から2009年10月22日までの五カ月間にわたった抱腹絶倒な大天竺一周の旅、あの名作【 インド道 】シリーズがリメイクされ、ナオキーズ!旅ブログ 『 ぶらっと、旅る。 』にて蘇る。


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